木魚歳時記 第994話

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いくたびも裏切られ、いくたびも欺かれて、心はかたく、
かたく石となるとも、その底より水は湧きいで、つらぬきて泉は流る

 生田春月さんの詩の一節です。いくたびも裏切られ、欺(あざむ)かれ、自分の心が石となっても、心の底から、それをゆるす気持ちが泉のように湧(わ)きあふれる。どうしてそのような気持ちになれるのでしょうか? それは、あざむいた悪いやつの気持ちが、おなじように自分の心の中にあることに気がつかれたからです。だからあらそわないのです。このようにあらそわない人たちのあつまりを、仏教では「和合僧」(わごうそう)と呼びます。この世を「和合僧」の社会、あらそわない社会とすることが仏教徒の使命です。

     ひんがしに春暁ぐいと攻めてくる