木魚歳時記 第845話

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水中には本来月影なし

 『大乗本生地観経』(だいじょうほんちかんきょう)にあることばです。水に映る月を見て、いかにもそこに月があるかのような錯覚(さっかく)に陥(おちい)る。わたしたちは、求めなければならない真実の姿を忘れて、実体のないさまざまな姿に執着(しゅちゃく)して苦しむことを戒(いまし)めたものです。
 ぼくが「うつつゆめもどき」とかいいだして、ひとりよがりの飛躍(ひやく)した俳句?をつくり、とてつもなく下手なクロッキーを臆面(おくめん)もなく人前にさらすなど、常識外れの行動をして<子供大人>と称されるのもこれと似ています。

    灯ともせば嗚呼と声あぐ水中花