木魚歳時記 第776話

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 「彦九郎像の前で待つ。来んなんだら・・きっぱりあきらる」。狙いすまして放ったバトル。はたして、彼女のハートを射止めしか?舞台回わりてその日その時。彦九郎像の前。件(くだん)の男は、最後の望みに託(たく)しける。はらはらうろちょろ待ちにける。

   「吸う息では笑えないが人生の明るさは
         吐き出すことから生まれる」(石川 洋)

 「時間過ぎたやんか!」。「早目に来るもんや、こんなときは!」。泣いたらあかん。あせったらあかん。貧乏ゆすりもしたらあかん。ワッ、三十分も過ぎたやんか・・ワシかて男や意地がある。ああ、ひゅひゅうと風が吹くなぁ、と、そのとき・・「あっ、来よった」。霜降り柄のオーバーに、レインシューズの素足履き、ああ、スーパーのおばちゃんスタイルやんか。「おまえやっぱり来たんか!」。「・・・・・・・・・」。めんこい嬢ちゃん茜(あかね)ちゃん、しかとこの手で射止めけり。

      影二つむふふうふふや春の宵