木魚歳時記 第611話

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 あの「孫悟空」(そんごくう)でおなじみの、三蔵法師がインドから持ち帰った仏教経典とは、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が『大唐西域記』という書物に著した史実のパロディーともいえます。

 インドからタクラマカン砂漠を越えて、中国にもたらされた、北方ルートによる経典群は「大乗仏教」(だいじょうぶっきょう)の経典と呼ばれます。そのほとんどは、紀元年前後に北インドの地方で成立し、ほどなく中国に伝えられたといわれます。阿弥陀仏信仰を説く教典群である「三部経」(さんぶきょう)も一世紀ごろに成立し、中国に伝えられたようです。現在、わが国の寺院で読まれる経典は、すべてこの時代に成立した大乗経典であり、いいい換えるならば、この大乗経典の説くところに基き、日本の各仏教宗派が存在するのです。

      偏屈の蛇うごきだす修行寺