木魚歳時記 第555話

f:id:mokugyo-sin:20131224172135j:plain

 「勢至菩薩」(せいしぼさつ)は、『無量壽経』(むりょうじゅきょう)というお経の中に、阿弥陀仏(あみだぶつ)の脇侍(わきじ)として登場します。観世音菩薩が、慈悲をもって衆生を救済するのに対して、勢至菩薩は、智慧をもって衆生を救済すると説かれます。

 勢至菩薩密教においても八大菩薩に一人として信仰されます。おもしろいことは、『観無量壽経』(かんむりょうじゅきょう)に説かれるように、弥陀三尊(弥陀・観音・勢至)の配置において、浄土教では、阿弥陀仏の左方に観音、右方に勢至を配して祭るのに対して、「胎臓界曼荼羅」(たいぞうかいまんだら)を見てもわかるように、密教では、観音、勢至の位置が左右その逆となります。また、勢至菩薩像は「未敷蓮華」(みふれんげ)つまり<蓮の蕾>を維持されるのがふつうで、それをもって象徴とするところから、一周忌(いっしゅき)法要の供養仏とすることも多いようです。

 化野の花野となりてしづもりぬ(応募作品4)