冱返る あの世覘きの 珍皇寺
蛇は気になる?ともかく蛇は、古今東西を問わず物語にさかんに登場します。初期の仏典である「スッタニパータ」(ブッダのことば)にも出てきます。
「蛇の毒が(身体のすみずみに)ひろがるのを薬で制するように、怒りが起こるのを制する修行者は、この世とかの世をともに捨てさる。蛇が脱皮して古い皮を捨て去るようなものである。」(スッタニパータ)
蛇髪をした仏像を見たことがあります。このように蛇は、神仏の化身として人々を護るもの…と信じられていたようです。真っ白に残された蛇の抜け殻を見たとき、人々は、蛇を、この世とあの世を自由に行き交うことができる(生死を繰り返す)不思議な生きものと感じたとしても無理はありません。このように昔の人たちは、蛇のもつミステリアスなイメージと、出家者の生死を超越した姿とを重ねあわせたのでありましょう。
「踏はづし 犬の吠えだす 猫の恋」