木魚歳時記 第193話

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天辺の 長広舌や 恋の猫

 作半(さくはん)とは?無住禅師が著された『雑談集』という書物に「得のもとに失ありされば作半なり」とあるようです。(「現代のことば」・京都新聞社)すなわち、作半とは、メリットはデメリットにも通じる、ものごとは功罪あい半ばする…となるのでしょうか。

 「ある男のところに、金銀珠玉で身を飾った、功徳という美女がやってきた。男はさっそく、功徳を家に引き入れようとした。しかしよくみると功徳のうしろに暗闇という醜女(しこめ)が連れ添っている。そこで男は醜女だけを追い返そうとした。すると功徳は「私たち二人は姉妹ですから離れることはできません。」そう云うなり暗闇を連れ一緒に帰ってしまった。」(『涅槃経』)

 得や損や、好きや嫌いや…こうした功利的な「欲望」から一歩はなれて、見返りを求めない行為、ボランテイアつまり「菩薩道」(ぼさつどう)の実践を説かれたのが釈迦の教え仏教です。

   「我輩は 時節遅れの 恋の猫」