2014-01-09から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第1482話

猿まね 「猿真似」(さるまね)とはよくいったものです。動物園などで観察すると、なるほど、猿真似とおぼしき行動をするおサルさんを見かけます。しかし、人間社会での猿真似は困りますが、猿社会の「猿マネ」は大変に重要なことなのです。なぜかといえば、…

木魚歳時記 第1481話

卯年 去年から今年にかけて、世相はめまぐるしく動きました。しかしそれはさておき、日本も、世界も、天地(大自然)も、かぎりなく清明で、保全されてゆくことを願います。 さて、この『木魚歳時記』の随所に、有職御人形司十二世・伊東久重氏の作品を掲載…

木魚歳時記 第1480話

魚心あれば水心 正確には「魚、心あれば、水、心あり」。と書くのでしょう。魚の方に水と親しむ心があれば、水の方も魚を受け入れる心を持つ、の意味となります。ところで、これが「相手の態度によってはこちらの態度も変ります」となると困ります。「ワイロ…

木魚歳時記 第1479話

鵜の真似をする烏(からす) 鵜(う)と鴉(からす)は外形といい色といい似ています。しかし、水中の小魚を捕る鵜と陸上で雑食性の鴉でとは習性がまったく違います。阿呆な烏(からす)が鵜の真似をして水中に入り溺れてしまったところから、自分の能力とか…

木魚歳時記 第1478話

井の中の蛙(かわず)大海を知らず 『念仏往生記』という書物の中に「井の中の蛙(かわず)のことが触れられています。ところで、この世の中に、先生と呼ばれる方々といえば、学者、医者、代議士が代表格となります。しかし、いずれも案外大衆(一般社会)の…

木魚歳時記 第1477話

蟻の一穴(いっけつ)天下の破れ 「蟻の一穴(いっけつ)より堤(つつみ)も崩れる」。ともいいいます。ほんのわずかな油断とか不注意がもとで思わぬ大事故を招くことを戒めたことわざです。 さて「散文と異なり、俳句においては助詞を省くことは可能です。…

木魚歳時記 第1476話

あの声で蜥蜴(とかげ)喰らふか時鳥(ほととぎす) 江戸時代の俳人である榎本其角(えのもときかく)の俳句です。美しい声で啼く時鳥(ほととぎす)が蜥蜴(とかげ)をついばむとは・・しかし、それは人間さまの勝手な思い過ごしでありましょう。小鳥が虫や…

木魚歳時記 第1475話

頭隠して尻隠さず キジは尻尾の長い鳥です。そのキジが草の中に首を隠して、尻尾が出た状態で隠れつもりでいることを指します。自然界に生きる動物は、身を守る本能に優れていますから、実際にこのようなことはないでしょう。もちろんこれは人間さまが悪事を…

木魚歳時記 第1474話

窮鼠(きゅうそ)返って猫を咬む 追われるはずの鼠が土壇場に追い詰められ、せっぱ詰まって猫に反撃するということわざです。動物の世界には、こうした状況をよく見受けます。しかし「人がせっぱ切羽詰まって悪事を働く」ことはいけません。しかし、そうした…

木魚歳時記 第1473話

猫ばば 徳川中期、本所(ほんじょ)深川に住んでいた婆さんが欲張りでどうしよもなかった、それが由来とも・・また、猫が糞(フン)をした後を砂をかけて隠す習性から来たとも・・拾い物をしても届けずに、自分の物にしてそ知らぬ顔をすることを喩えて云うよ…

木魚歳時記 第1472話

狐の嫁入り 昔、山野で、得体の知れない明かりが点滅しながら行列するのを見て狐火(きつねび)といったそうです。また、それを称して狐の嫁入りとも称したそうです。ただし、より一般的なのは、日が照っているのに、急に小雨が降り出すような天候を指して「…

木魚歳時記 第1471話

狐につままれる 「いめへましい、けふはきつねにでもつままれはしねえか」(『続膝栗毛』)。狐は化けるときに鼻をつまむ仕草をするとか?どこかで読んだことがあります。どうしてそのような仕草をするのかわかりませんが?原因も経過もさっぱりとわからない…

木魚歳時記 第1470話

角(つの)を矯(ため)て牛を殺す 牛はその角(つの)を見て良否がわかるといいます。或るところに、おろかな牛飼の男がいて、曲がっている牛の角(つの)を見て、それをまっすぐに直そうとして牛を殺(あやめ)てしまったそうです。枝葉の欠陥を直そうとし…

木魚歳時記 第1469話

牛は牛連れ 「牛は牛連れ」「馬は馬連れ」といいます。水と水は集まりやすく。火と火はともないやすいということわざです。同類・似たもの同士が自然に集まることでしょうが、国会の投票におけるごとく、作為的に動きを遅らせていたずらに混乱を招くような「…

木魚歳時記 第1468話

牛に曳かれて善光寺参り 昔、信州信濃(長野県)のあるところに一人の老婆が住んでいました。或る日、老婆は家の前で布を干していたところ、お隣の飼い牛が、干してあった布を角で引っ掛け、走り出してしまいました。老婆は、やむをえず牛を追いかけたところ…

木魚歳時記 第1467話

牛に乗って牛を尋ねる 修行僧が悟ることができずに悩んでいた。そこである日のこと、師に尋ねてみることにした「どうすれば仏の境地を悟ることができるのでしょうか?」と。すると師は答えた「おのれの心の中に仏あり。外に向けて仏を尋ねるは、牛に乗って牛…

木魚歳時記 第1466話

とどのつまり 深海魚である「とど」、つまり鯔(ぼら)は、俗にいう出世魚です。オボコ→ハネカエリ→イナ→ボラ→トドと呼ばれるところからこの諺(ことわざ)が生まれたわけです。なお、ボラの卵巣から作る「からすみ」は極上の珍味とされます。この諺(ことわ…

木魚歳時記 第1465話

ごり押し 鮴(ごり)は、渓流魚の鰍(かじか)の方言です。また、琵琶湖に棲む淡水魚もゴリと呼ぶようです。ハゼ科の特徴として、急流や岩場を集団で馳せ登るところから、あるいは、笊(ざる)で「押し獲り」する漁法があるところから、この諺(ことわざ)が…

木魚歳時記 第1464話

磯の鮑の片思い 二枚貝と比べると鮑(あわび)は貝殻が片一方しか無いように見えるところから、世間では、男女の片思い、さらには失恋の状況を指して云うようです。 しかし、鮑(あわび)はあれでれっきとした巻貝の一種で、決して貝類の「変態」ではありま…

木魚歳時記 第1463話

逃がした魚は大きい 西洋の諺(ことわざ)に「逃がした魚は大きいとあります。どこまでが本当なのか、現に見られないところが「ミソ」です。これが、いちど手に入れかけて失った利益を失ったときは大損をしたように悔やまれる。そんなことわざとして用いられ…

木魚歳時記 第1462話

水清ければ魚棲まず 中国の諺(ことわざ)に「水清くして大魚なし」があります。あまり水がきれいだと、魚のエサとなる小動物・プランクトンの類が生じないので魚も棲みつけないという、まことに理にかなった諺(ことわざ)です。ところで、これをひねると「…

木魚歳時記 第1461話

猿も木から落ちる 「弘法も筆の誤り」と同義の諺(ことわざ)です。これについては、いまさら説明する必要もないくらいに広く知れわたっています。 ただし、猿は木から落ちてもサルですが、代議士さんは落選すると「ただの人」となるところが怖い。さて「推…

木魚歳時記 第1460話

始めは処女の如く、後は脱兎の如し 漢籍の「始めは処女の如くにして、敵人戸を開く後には、脱兎(だっと)の如くにして、敵拒(ふせ)ぐに及ばず」とあることによります。始めは弱々しくみせかけて敵を油断させ、後は、見違えるほど強い力を発揮して敵を攻撃…