2013-12-26から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第698話

「仏さんみたいな人やなぁ」。そんな人がおられます。疑うことを知らないというか、根っからのお人好しというか・・そんなお人を「妙好人」(みょうこうにん)と呼びます。 「.さいち、かぜをひいてせきをした なむあみだぶつのせきが出た」(浅原才市) 才…

木魚歳時記 第697話

ぼくは自尊心の強い男だと思います。この自尊心は、どうかすると<うぬぼれ>につながります。うぬぼれ「慢心」(まんしん)は根本的な煩悩の一つに数えられます。 「他人の悪を能く見る者は、 己が悪これを見ず」(『等寺院御遺書』) 仏教では「驕慢」(き…

木魚歳時記 第696話

<いろは歌>は弘法大師が?誰が考え出したにしろ、仏教の「諸行無常」(しょぎょうむじょう)を表わして絶妙です。 「祇園精舎の鐘の声、 諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、 盛者必衰の理を現す」(『平家物語』) 「色は匂へど、散りぬるを、我が世…

木魚歳時記 第695話

このホームページを始めてから花の写真撮影が続いています。ところで、お浄土(極楽)は、蓮の花の咲き匂う「微妙快楽」(みみようけらく)のところ・・と教典にありあります。 「自力を捨てるということは 自分の分限を知ることです」(曽我量深) 「微妙快…

木魚歳時記 第694話

バス停であの少女と再会しました。数年前こどもであった彼女は少女に変身していました。彼女は全盲のようですが「和」(やすらぎ)の笑顔は以前のままでした。 「人はひとりであるとき いちばん強い」(吉田紘二郎) 仏教では「和顔愛語」(わげんあいご)と…

木魚歳時記 第693話

生まれてから細胞も、卵子もひたすら減少しつづけるそうです。そうなると、ぼくのお玉杓子もすでに<から>に?「空」の漢字も読み方によって<から>・<そら>・「空」(くう)となります。 「空(くう)の心はすへてを許し すへての命を育てる」(小笠原…

木魚歳時記 第692話

ぼくは、悪い意味で「唯我独尊」(ゆいがどくそん)です。つまり<ひとりよがり>です。大黒さんにいつも「あんた視野が狭いなぁ」といわれます。「自然法爾」(じねんほうに)でないのです。 「いだかれてあるとも知らずおろかにも われ反抗す大いなる手に…

木魚歳時記 第691話

<こだわり>がないと進歩はありません。でも、間違って<こだわる>と苦しくなるのも事実です。それをなくすには?「法爾」(ほうに)、つまり自然界の法則に戻ることです。「はじめもよく 中ほどもよく おわりもよく」(阿含経) 「法爾」(ほうに)とは、…

木魚歳時記 第690話

欲望にもいろいろとあります。財欲・知識欲・名誉欲とか、食欲・性欲とか・・でも、つまるところは性欲?<種の保存>の意味において。仏教では、欲望は「煩悩」(ぼんのう)によると教えます。 「たどりきて、未だ山麓」(升田幸三) 「煩悩」(ぼんのう)…

木魚歳時記 第689話

丸裸で生まれてきたのに、だんだんと隠すなぁ。だんだんと抱え込むなぁ。もっとお裾分けせんとあかん。他人さまに<ふりむける>ることを、仏教では「回向」(えこう)といいます。 「なんのこっちゃ丸裸」(石川 洋) 「回向」(えこう)とは、自己の善行の…

木魚歳時記 第688話

告白します。ぼくの癖は、ロマンと<いちびり>とスケベです。中でも<気ぃスケベ>はかなりのものです。さて告白は、仏教では「懺悔」(さんげ)といって大切な行為となります。 「人はその欲するところになく、 することにある」(某) 「懺悔」(さんげ)…

木魚歳時記 第687話

江戸川乱歩の短編に『屋根裏の散歩者』があります。天井の節穴から<下界>の淫靡を盗み見する・・ぼくは子供のころこの本を盗み読みしました。 「子供というものは、大人たちの想像もできない 鋭い感覚を振り回している」(井上 靖) 「妄想」(もうそう)…

木魚歳時記 第686話

向田邦子さんの『あ・うん』はテレビドラマで見ました。それからまもなく事故で亡くなられましたが・・とても気になる作家でしたから残念でなりません。 「世の中に甘えることの出来る人がいてくれたら それだけで仕合せである」(源氏鶏太) 口をひらいて発…

木魚歳時記 第685話

馴れないので焦点の<あまい>写真が混じります。坊主の本業も、俳句も、写真も・・蕾(コスモス)のまま開花しない?小僧のままで終わる? 「捨てるということさえ捨てよう。 すると裸になれる」(毎田周一) 小僧(こぞう)は、「大僧」(おおそう)に対す…

木魚歳時記 第684話

この親方は?せわしない虫です。蜜を求めてあっちゃこっちゃ、うう。ホバリング(空中遊泳)を撮るなんて至難のワザ?いえ、偶然のチャンスでした。 「誰にも知られていないと思っている。 しかし、自分が見ている」 「五色」(ごしき)とは、青・黄・赤・白…

木魚歳時記 第683話

極楽世界(睡蓮の池)の隣ににパラグアイ鬼蓮が咲いていました。こういうと簡単のようですが、寿命の短い、このでかい<おにはす>をカメラに収めるのは、なかなか努力がいります。 「どうにもならんことは、 どうする必要もないこと」(安田理深) 日本の<…

木魚歳時記 第682話

「きゃ~動いた」。女の子が騒ぐので見たら、すいれんの咲く池に<さぎ>が・・置物かも?それが突然<まばたき>したので、嬌声となったのです。まるで極楽世界のようでした。 「今、今、今、一度だけの今」 「極楽」(ごくらく)とは、原語の意味は<楽の…

木魚歳時記 第681話

知った人たちの訃報に接することが多くなりました。それにつれた<香典拝辞>のことばを目にします。ご遺族の気持ちはわかりますが・・なにか割り切れない気持ちも残ります。 「太陽も死も 凝視できるものでない」(ラ・ロシュフーコォ) 「香奠」(こうでん…

木魚歳時記 第680話

ぼくの俳句の先生が、最近<余日>なんていい出されるようになりました。ぼくはその先生より十歳ほど若いのですが・・やはりお寺をバトンタッチするための整理など始めています。 「世の中の生死の道に連れはなし たださびしくも独死独来」(小林一茶) 「来…

木魚歳時記 第679話

次女は、ご主人の仕事のつごうで千葉県の松戸に住んでいます。その娘が敬老の日に絵手紙(写真)を送ってくれました。やさしいことをして、ぼくを<ほろり>とさせてくれます。 「生きる喜びとは 主役を演じることを意味しない」(福田恒存) 「行雲流水」(…

木魚歳時記 第678話

ぼくは、ときどき怖い夢を見ることがあります。なんでか?それはぼくにもわかりません。40年余りも仏さまにお仕えする身でありながら「業(ごう)の深いことだ・・」と思います。 「人は知らずとも、 わが良心これを知る」(新島 襄) 「業」(ごう)とは…

木魚歳時記 第677話

写真も撮りにでかけられず・・季節はずれの写真でかんべんしてください。。あんまりぎょうさん撮りすぎたから?カメラのモータードライブが壊れてしまいました。 「思った通りになる世の中なら おらあ 天下を取っていらあ」(『生きている小平次』) 「見仏…

木魚歳時記 第676話

ついに、ホームページ(8月)をさぼってしまいました。いろんなことが重なったのですが・・結局はぼくの怠慢です。また出直します、ご愛顧のほどを・・ 「ひさかたの月の光りの清ければ 照らしぬきけり唐も大和も」(良寛禅師) 玄関(げんかん)とは、古く…

木魚歳時記 第675話

第43回現代俳句全国大会の応募俳句の受付が終わりました。4ヶ月があっという間でした。一人でも多く、一句でも多く、1件も遺漏無きよう・・どうにか目標達成です。 「本気なら何をしたって 立派だからね」(里見弴『多情仏心』) 経典の中に極楽浄土(ご…

木魚歳時記 第674話

「毛坊主」(けぼうず)。胸や、脛(すね)に、いっぱい毛を生やした豪快そうな和尚さんを見かけます。そうすれば、ぼくなどはさしずめ<エロ坊主>ということに。 「生きる時間が 黄金のように光る」(村野四郎『鹿』) 寺や檀家(どんか)を持たず、世間で…

木魚歳時記 第673話

ぼくの寺に俳句の猛者・猛女が結集(けっしゅう)して、秋の全国大会に集まる応募句の整理をしています。その数12000とも15000とも?あっというまに祇園祭りがすぎてゆきました。 「執着する何ものもないといった 虚心の心では人間はなかなか 死ね…

木魚歳時記 第672話

酒肉山門に入る許す。そんなぼくは坊主の「外道」(げどう)です。昔、映画が全盛の頃に、倶利伽羅紋紋(くりからもんもん)の外道・極道たちが、ぶいぶい鳴らしたことを覚えています。 「自分は瞬間瞬間に、死を生き、 無意味を生きた」(椎名鱗三『永遠な…

木魚歳時記 第671話

昔、女性の出入りを禁じた女人結界(にょにんけっかい)があり、律寺(りつてら)などでは守られていたようです。むむ、大黒さんとぼくに見えない<結界>が? 「小うるさい精神や神経の曲折は いっさい捨てて正面から、堂々と この女を愛してやろう」(『芳…

木魚歳時記 第670話

破蓮(やれはす)のことばがあるように、秋の蓮池ほど殺伐とした風景はありません。その破蓮も消え去った冬の蓮池ほど淋しげなものはありません。その同じ蓮池の泥の中から、ふたたび清楚な蓮の花が・・ 「物には時節あり。花の開閉、人の生死、 なげくべか…

木魚歳時記 第669話

おぎゃ~と生まれたらいつかは死ぬ。いつどこで、どのようにして、それがわからんだけのこと。はっきりしてるのは、一人で生まれ一人で死んでいくことです。知人の不幸が重なると・・そんなことを身近に感じます。 「つひにゆく道とはかねて知りながら 昨日…