木魚歳時記 第3210話

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 「今日のことば」
    一日ニ玄米四合ト
    味噌ト少シノ
    野菜ヲタベ
     (宮沢賢治「雨ニモマケズ」)3

 「ボクの細道」好きな俳句(960) 岡本 眸さん。「町落葉何か買はねば淋しくて」(眸) 街路樹の落ち葉が舞う中を、買い物袋両手にした親子連れなどと出会うと、独り身の自分でも、急に、買い物をしたい気分になるのはわかる気がします。ところでボクは、このところ一汁一菜で満足しています(老衰か?)。相棒が「今夜はなにが食べたいの?」と、そう聞いてくれますが、ボクは「なんでもいいけど!」。と、そう答える毎日です(汗)。 

       死ぬときは丸裸なり草の花

 

木魚歳時記 第3209話

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 「今日のことば」
    欲ハナク
    決シテ瞋(イカ)ラズ
    イツモシズカニ
    ワラッテヰル
     (宮沢賢治「雨ニモマケズ」)2

 「ボクの細道」好きな俳句(959) 岡本 眸さん。「日曜といふさみしさの紙風船」(眸) すでにつれあいを亡しておられたのでしょうか? ひさしぶりに紙風船を折ってはみたもののそれを見せる相手はもういない。ともかく、老後の暮しともなると一日の経つとが早い。土曜日、日曜がすぐに来てしまいます。なぜでしょうか? それと、ウイークデイと週末とに変化が少ない! 連休が来てもワクワクしない! こんなのでいいのかな? そんなことを思ってしまいます(汗)。

       いぼむしり一度死んだら二度死なぬ

 

木魚歳時記 第3208話

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 「今日のことば」
    雨ニモマケズ
    風ニモマケズ
    雪ニモ夏の暑サニモ マケヌ
    丈夫ナカラダヲ モチ
     (宮沢賢治「雨ニモマケズ」)1

 「ボクの細道」好きな俳句(958) 岡本 眸さん。「嘘ばかりつく男らとビール飲む」(眸) 嘘ばかりつくわけでもないのでしょうが、ともかく、男は「いい恰好」をしたがるものです。そんな男どもとも、眸さんは一緒にビールを飲んでおあげになるのです。これが、飯島晴子さんなら「夏鶯さうかさうかと聞いて遣る」となります。みなさん、眸さんと晴子さんの作品の思いやりの微妙な違い・・これを作風とでもいうのでしょうか?

       螳螂の斧が外れたどうしやう

                  螳螂(とうろう)

 

木魚歳時記 第3207話

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 「今日のことば」
    ほんとうにそれらの大きな
    黒いものは参(さん)の星が天の
    まんなかに来てももっと西に
    傾いてもじっと化石したやうに
    うごかなかった。
     (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)29 おわり

 「ボクの細道」好きな俳句(957) 石田郷子さん。「紅の実の弾けたる女正月」(郷子) 「女正月」(めしょうがつ)は、松の内が明けて、女性が多少ともほっこりできるように設けられたものなのでしょう。さて、仏教では「法爾自然」(ほうにじねん)と説きます。つまり、これは「ありがまま」という意味です。この言葉から二字を取って、法然上人は「ナムアミダブツ」の教え「浄土宗」を開かれました。

       我輩は唯我独尊ちんちろりん 

                 唯我独尊(ゆいがどくそん)

木魚歳時記 第3206話

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 「今日のことば」
    思ひなしかその死んで
    凍えてしまった
    小十郎の顔はまるで
    生きてゐるときのやうに
    冴え冴えしくて何か笑っている
    やうにさえ見えたのです
     (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)28

 「ボクの細道」好きな俳句(956) 石田郷子さん。「親と子と冬の日向をとほりけり」(郷子) (ボクの生まれた)寺には、昔、内風呂がありませんでした。ですから、家族はみんな銭湯に通いました。とりわけ、家内は夕餉の支度をすませてから、近くの銭湯にまで幼子を連れていきました。この作品のような日常が、毎日、繰り返されていたのです。それはそれで質素ながら懐かしい思い出です。
  

        悪漢も三杯食ひしむかご飯

 

木魚歳時記 第3205話

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 「今日のことば」
    そしてその雪と月のあかりで見ると
    いちばん高いとここに小十郎の死骸が
    半分座ったやうになって
    置かれてゐた。
     (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)27

 「ボクの細道」好きな俳句(955) 石田郷子さん。「冬晴のバスの車内のひろびろと」(郷子) 石田郷子さんは近郊の自然豊かな処に移住された? おそらく、一時間に一本あるかないか、そんな田舎の路線バスなのでしょう。比べるのはおこがましいですが、ブログ作者も洛北松ヶ崎に引っ越をしてはや3年となります。ベランダから眺める山並みの美しさや刻々と変化する雲助の流を見ていると幸せになります。

       月を盗る話などしてはしご酒

 

木魚歳時記 第3204話

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 「今日のことば」
    (黒いものは)
    各々黒い影を置き
    回々(フイフイ)教徒の
    祈るときのやうに
    じっと雪にひれふしたまま
    いつまでも動かなかった。
     (宮沢賢治「なめとこ山の熊」)26

 「ボクの細道」好きな俳句(954) 石田郷子さん。「漣のぎらぎらとして冬木の芽」(郷子) 冬木の芽とありますから林に囲まれた湖水でしょうか? 逆光の中に、漣(さざなみ)がぎらぎらと光って見えます。さて、湖面が「ぎらぎら」するのはなぜか? 一瞬、胸騒ぎもいたします。冬木の芽がふくらみはじめ、春の到来も間近というのに・・

        天辺へ昇りつめたる音頭取  

                  天辺(てんぺん)