木魚歳時記 第3818話

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「たれびとにも見せてやるな」

 と小声が、かすかながらもほがらかに聞こえた。門院の声に似ている。確かめようと再び耳をすますと、声はしずかな山の渓谷の底を行く水のせせらぎにしか過ぎないように思われた。
 すべては雪のあやかしではあるが、由来するところはあった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)506

       土つけてれ三つならんだ真竹の子

 「ボクの細道]好きな俳句(1568) 今井肖子さん。「花の風花より生れ花に消え」(肖子) 桜の頃に吹く風を「花から生まれ花に消え」とは、なんと美しい表現でしょうか。こんな作品は、心根の美しい(と思います)今井肖子さんだからこそ生まれるのでしょう。今井肖子さんは、今井通子さんの娘さんです。さて、IT(情報技術)とか、AI(人口知能)とか、情報産業のめざましい発展にともない、横文字のイニシャル表記が目立ちます。これでいいのか? ボクには少々抵抗もありますが・・時代の流れですから、ついていくよりしかたがありません(汗)。

 孔雀(くじゃく)5 結婚式は明日になるだろう。
そこで、残りの時間をどう過ごそうかと、ただ、あてもなく踏段の方へと歩いて行く。そして神殿の階段(きざはし)でも登るように、一段一段、正式の足どりで登って行く。