木魚歳時記 第3579話

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 塵(ちり)を蹴って勇む駒のひづめの音も次第に聞こえなくなり、馬上の姿は一度見返って笑顔を見せたようであったが、刻々に遠ざかって行く。それをじっと見送りながら、「この大きくなったすがたをせめて人目、父親にも見せたかった」
と、その子の母は目がしらをちょっと指で押さえてから、弟をふり返り、
(佐藤春夫『極楽から来た』)282

      とつぜんに青大将の話など

 「ボクの細道]好きな俳句(1329) 山口誓子さん。「夏の河赤き鉄鎖のはし浸る」(誓子) これも代表句です。山口誓子さんの俳句は、そのほとんどが名句といえるくらい作品の粒がそろっております。17文字の隅々まで、作者の神経が行き渡っています。その完成度の高さ、そこが俳句の神さまと称される所以です。