木魚歳時記 第586話

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 仏典に現れる「愛」について考えましょう。仏典に現れる「愛」は、大きく分けて二種類あります。

 ①煩悩の汚れをおびた「愛」と、②煩悩の汚れをおびない「愛」の二種類です。前者は「愛」を煩悩そのものとする考え方です。仏典の中で、しばしば、恩愛、割愛、貪愛、欲愛、愛着、などのことばで表わされます。仏教では、これらは煩悩の側面を残すものとして、盲目的な執着として排除します。 後者は、法愛、愛楽(あいぎょう)、慈愛、愛語、と用いられる「愛」です。後者は、仏教において「慈悲」の教えとして説かれます。世界の宗教の中で、キリスト教の説く「愛」の教えと、仏教の説く「慈悲」の教えが、東西の国民性・文化などを考える上での重要なキーポイントになります。こうした違いが生じる基盤には、東西の風土・民族の違いを無視できません。

       残り福引いて白犬尾も白い