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木魚歳時記

画像・文章の転載はご遠慮下さい

木魚歳時記 第3080話

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 「今日のことば」

    蚤(のみ)
    弾機(ばね)仕掛けの煙草(たばこ)の粉。
    (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(836) 石田郷子さん。「さへづりのだんだん吾を容れにけり」(郷子) さいしょ、遠慮がちであった小鳥たちの囀りも、やがて、わたくしの存在を認めてくれたのでしょうか? だれに遠慮することもなく大きなひろがりとなってゆきます。小鳥たちも、わたくしも、幸せなとなる一瞬です。そこで、駄句を一句「囀りの中で接吻してみたい」。嗚呼。

        花びらの天下和順や朴の花

                    天下(てんげ)

木魚歳時記 第3079話

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 「今日のことば」
    蟻
    一匹一匹が、3という数字に似ている。
    それも、いること、いること!
    どれくらいいるかというと、
    ωωωωωωωω・・
    ああ、きりがない。
    (ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(835) 木下夕爾さん。「つくねんと木馬よ春の星ともり」(夕爾) 遊園地の回転木馬でしょうか。昼間の喧噪に比べてあらゆるものが眠りに就いたいま、木馬たちも固まっています。空を見上げると、春の星が楽しそうにまたたいています。この世のものが、みんな寝静まった。今、木馬たちは何を考え、何を思いながら夢見るのでしょうか。

         駄目よダメぜつたいにダメ蟇     

                   蟇(ひきがえる)

木魚歳時記 第3078話

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「今日のことば」
   蛍
   いったい、何事があるんだろう?
   もう夜の九時、それにあそこの家(うち)では、
   まだ明かりがついている。
    (ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(834) 正木ゆう子さん。「降る雪の無量のひとつひとつ見ゆ」(句集『羽羽』) 句集『羽羽』の巻末を飾る作品です。第3句集『静かな水』(2003年・51歳)が爛熟期の句集とすれば、第4句集『夏至』(2009年・57歳)は成熟期の、第5句集『羽羽』(2016年・64歳)は円熟期の句集ともいえるのでは? とりわけ掲句の「無量」の措辞に至っては、作者の悟りの境地のようなものすら感じられ感動いたします。

         老僧のいたく愛でたる白牡丹

 

木魚歳時記 第3077話

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 「今日のことば」
    小蜂
    いくらなんでも、
    それでは自慢の腰つきが
    台なしになる。
    (ルナール)『博物誌』   

 「ボクの細道]好きな俳句(833) 正木ゆう子さん。 「虹を呼ぶ念力ぐらい身につけし」(句集『羽羽』) 自然を愛する作者にしては、めずらしく、自己顕示色を感じる作品で驚きました。虹ほど、美しく、幻想的で、そして「虹」はやがて消えてゆくもの。ともかく虹ほど魅力に満ちた自然現象は少ない。ですから、作品に、微塵たりとも嫌味を感じることがないのは、そうした「虹」という現象のもつロマン性にあるのか? はたまた「念力」という言葉のもつ神秘性にあるのか?       
  

        青嵐どこから来たか迷い猫
      

木魚歳時記 第3076話

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 「今日のことば」
    二つ折りの恋文が、
    花の番地を捜している。
    (ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(832) 正木ゆう子さん。「なんという高さを鷹の渡ること」(句集『羽羽』) 作者は、「鷹柱」「鷹渡り」の定点観察をつづけておられるそうです。それほどに魅力に満ちたものなのでしょう。なにより、気象、観測地点、その他、もろもろの条件が合致して可能なことでしょう。ボクも、いちどは遭遇してみたいものです。

       青蜥蜴たしかにあれは陰陽師 

            蜥蜴(とかげ) 陰陽師(おんみょうじ)
       

木魚歳時記 第3075話

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 「今日のことば」
    蜘蛛(くも)
    髪の毛をつかんで硬直している。
    真っ黒な毛むくじゃらの小さな手。
    (ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(831) 正木ゆう子さん。「つかみたる雛(ひよこ)に芯のありて春」(句集『羽羽』) ああ、ものすごく好きな作品です。このような作品にあれこれつけくわえるのは蛇足というものでしょう。そこで、併記するのはおこがましいのですが、ゆう子さん選者の、NHK俳壇(約10年前)に選んでいただいたボクの一句を。ああ、猛烈に恥ずかしい。

        もういちど兎抱きしめ卒園す

 

 

木魚歳時記 第3074話

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 「今日のことば」
やまかがし
いったい誰の腹から転がり出たのだ、この腹痛は?
(ルナール)『博物誌』

 「ボクの細道]好きな俳句(830) 正木ゆう子さん。「絶滅のこと伝はらず人類忌」(句集『羽羽』) 能村登四郎さんに「老残のこと伝わらず業平忌」の作品があります。これを意識した作品であるようです。さて「人類忌」(無季?)について。飛躍しているかも知れませんが、ボクは「原爆忌」(広島忌)のことを意識してつくられた作品と読みました。もし、世界が核戦争に入れば「人類忌」の俳句を、いったい誰が詠むのでしょうか? 

         茂る葉の中より列車ぬつと出る