木魚歳時記

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木魚歳時記 第3164話

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 「今日のことば」
     (狸が)
    「なまねこ、なまねこ、
    みんな山猫さまの
    おぼしめしどほりになるのぢゃ。
    なまねこ。なまねこ。」と云ひながら
    兎の耳をかじりました。
     (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)5

 「ボクの細道」好きな俳句(913) 伊丹三樹彦さん。「父も子も音痴や野面夕焼けて」(三樹彦) 「夕焼け小焼けで日が暮れて♪」 歌いながら、父子のシルエットが堤防の上を遠ざかる・・そんな映画のワン・シーンを見るような作品です。さて、父子はどうして似てしまうのか? それも劣勢遺伝としかいいようのない場合が多い! ブログ筆者も、最近、父(師僧)に似てきようです(汗)。お昼ごはんをいただくと「まぶた」が重くなるのです。そういえばおやじも朝寝・昼寝をしていました。

       片かげり痩せた子猫のよつてくる

 

木魚歳時記 第3163話

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 「今日のことば」
    兎も一緒に念猫(ねんねこ)を
    となえはじめました。
    「なまねこ、なまねこ、なまねこ。」
    狸は兎の手をとって
    もっと自分の方へ引きよせました。
     (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)4

 「ボクの細道」好きな俳句(912) 石田波郷さん。「まくなぎを唇(くち)にあてたる独り言」(波郷) 「まくなぎ」は、低空を浮遊する小さな羽虫の類で、ヌヌカとも称されます。さて、独り暮らしなら、4.5日はしゃべることがない? そんなこともあるのかも知れません。そんなボクが、外に出て、ぶつぶつ「独り言」しながら歩くと掲句のようなことが起こるような気がします。

       残る蚊のきのふもけふもうごかない

 

木魚歳時記 第3162話

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 「今日のことば」
    (狸が)
    さうぢゃ。みんな往生ぢゃ。
    山猫大明神さまの
    おぼしめしどほりぢゃ。
    な。なまねこ。なまねこ。
     (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)3

 「ボクの細道」好きな俳句(911) 山口誓子さん。「ががんぼの必死に交む一夜きり」(誓子) 「ががんぼ」は、蚊(か)を大きくしたような虫です。「蚊蜻蛉」(かとんぼ)とも書かれます。(ボクの知り合いの)「やんす姫」は、マイカーのバックミラーに蚊の交むのを発見して「われ、昼間から、なにするでやんす。」と、ぴしゃり叩いたそうです。「蚊さん、成仏したでやんしょか?」。と、懺悔のメールが来ました。「しゃあないやんか。やってしもたんやから」。と、返メールしておきました。

        階段の狭きところで蚊の交む

 

木魚歳時記 第3161話

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 「今日のことば」
    狸さま。かうひもじくては
    全く仕方がございません。
    もう死ぬだけです。
    兎がきもののえりを
    掻(か)き合わせて云ひました。
     (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)2

 「ボクの細道」好きな俳句(910) 福永鳴風さん。「百日紅男は背中より老ゆる」(鳴風) わかります。ブログ筆者も80歳の大台に乗りました(汗)。同じ世代が寄れば、話題はもっぱら「体調」のことばかり。反対に「酒量」はめっきり減りました。ほとんど寓居に蟄居(ちっきょ)しています。ボランティアを思い立つのですが、なにぶん「脚」がおぼつかなくて・・昨日『ざんねんな・いきもの』(上下2巻)を買いました。楽しそうです(笑)。

        生ビール飲み放題といはれても

木魚歳時記 第3160話

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 「今日のことば」
    狸はわざと顔を洗はなかったのだ。(中略)
    (狸は)すっかりお腹が空いて一本の松の木に
    よりかかって目をつぶつてゐました。
    すると兎がやって参いりました。
     (宮沢賢治「顔を洗はない狸」)1

 「ボクの細道」好きな俳句(909) 藤田湘子さん。「蝿叩此処になければ何処にもなし」(湘子) 蠅が減りました。蠅を見かけることなく夏が過ぎることもありそうです。ですから「蠅叩き」を知らない世代があっても不思議ではありません。くらべて「ごきぶり」は絶滅とはゆかないようです。ごきぶりを見つけたとき、打つか追っ払うか? アンケート調査では64パーセントが「打つ」と答えたそうです。

       ナムナムと唱へごきぶり打ちにけり

 

木魚歳時記 第3159話

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 「今日のことば」
     (狐の幻燈会)
    狐こんこん狐の子、
    去年狐のこん助が
    焼いた魚を取ろうとし
    おしりに火がつき
    きゃんきゃんきゃん。
     (宮沢賢治「雪渡り」)17 おわり

 「ボクの細道」好きな俳句(908) 高田風人子さん。「年老いし蟻を見掛けしことのなし」(風人子) なるほど、蟻とか、蟻の列を見て、蟻の年齢など考えたことはありません。いわれてみると、年老いた蟻とか疲れた蟻を見かけたことはありません。(巣の)外に出る蟻は「働き蟻」だからでしょうか? それはともかく、こうしたことに視点が及ぶのは、すでに俳人として非凡なのでしょう。

       打つときの心は地獄ごきかぶり

 

木魚歳時記 第3158話

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 「今日のことば」
     (狐の幻燈会)
    狐こんこん狐の子、
    去年狐のこん兵衛が
    左の足をわなに入れ
    こんこんばたばた
    こんこんこん。
     (宮沢賢治「雪渡り」)16

 「ボクの細道」好きな俳句(907) 広瀬直人さん。「巣を張つて日の暈に入る女郎蜘蛛」(直人) 小径のわきに「蜘蛛の囲」、つまり蜘蛛の巣を見つけたところ、蜘蛛の巣に陣取る女郎蜘蛛が、まぶしい「日の暈(かさ)」、つまり太陽に透けて見えたというのです。おそらく、逆光に浮かぶ女郎蜘蛛の黒々と猛々しいさまは、戦国武将の闘魂よりたくましい? そんなことを作者は連想されたのでは?

        蛇に足あるやなしやの大論争