木魚歳時記

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木魚歳時記 第3827話

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 第十一章 平治の乱
(一) 本院鳥羽上皇が崩じて保元の乱となり、敗軍の新院が讃岐にうつされ奉ったのは、堀川天皇以来七十年ばかりつづいていた院政もなくなり、当年三十歳の後白河天皇には、親政という朝家永年の理想を実現する絶好の機会でありながら、保元三年早くも二条天皇に御譲位あって天皇の親政ならぬ上皇の院政をはじめた。
 御白河天皇は「和漢の間、比類のない暗主で、お側に反逆の臣がいるのもご存じなく、それを諷し奉ってもまだお気づきもない」と寵臣藤原通憲(みちのり)から評されたお方であった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)514

        葛餅を二つ並べてお婆あさん

 「ボクの細道]好きな俳句(1577) 佐藤鬼房さん。「逃げ水のごと燦々と胃が痛む」(鬼房) 、「逃げ水」が燦々とするのはわかるのですが、「胃が痛む」とは? 逃げ水を追いかけるような、つかみどころのない、苦渋の人生ではあったが、燦々と自己流に生きた満足感はある。さて、ツバメの営巣(1) 阪急電鉄の小林(おばやし)駅では、毎年、ツバメが巣を造るそうです。駅では、それを温かく黙認するそうです。

 猫(ねこ)3 しかし、爪傷がもとで鼠は死んでしまう。

 

木魚歳時記 第3826話

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 もとより手箱の底ふかく秘めている。もしそれがなかったらあの成菩薩院の昼のことも高野山上雪のあやかしと同じように思うかも知れない。それにしてもあのおん似顔絵は今、皇女八条院さまのお手もとにでもあるのであろうか。
 あたかも一年後、五月以来の御不例が重らせた時、すなわち保元の乱の直前、美福門院は落飾あらせた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)513

        亀鳴かせブログに励むお爺いさん

 「ボクの細道]好きな俳句(1576) 佐藤鬼房さん。「桜湯に眼もとがうるむ仮の世や」(鬼房) 「桜湯」とは銭湯のことでしょう。込み合う時刻を避けて、一番ブロ楽しむ老人の姿が目に浮かびます。さて、『極楽から来た』(連載中)は、佐藤春夫さんの短編小説(法然上人の伝記小説)です。法然上人は、天台(叡山)で学ばれ、43歳で山を下られて浄土宗を開かれました。『極楽から来た』は、ブログ「3294話」(2018-1-1日付)から連載(分割)を続けています。

 猫(ねこ)2 遊び飽きると、命だけは助けてやる。それからどこかへ行って、尻尾(しっぽ)で輪を作ってその中に坐(すわ)り、拳固(げんこ)のように格好よく引き締まった頭で、余念なく夢想(むそう)に耽(ふけ)る。


 

 

木魚歳時記 第3825話

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 おん似顔絵は奉ったが、おん裸形の神々しさは、写し奉らぬ走り描きを差し上げしぶるというのも、実は手もとに頂いて置きたいわが心を見抜かれたか、宮はわが形見にもせよと賜って、
「たれびとにも見せるなや」
 と仰せられた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)512

       天球のどこもかしこも薄暑かな

 「ボクの細道]好きな俳句(1575)  佐藤鬼房さん。「縄とびの寒暮いたみし馬車通る」(鬼房) 「いたみし」をどのように読み取るか? ボクは「せつなく思う」と読みました。寒い日暮れの街道で縄とび(独り遊び)にふける少女のそばを馬車が通り抜けてゆく。寒の暮れの「せつなさ」が倍増されてゆきます・・さて、天台宗(叡山)を開かれた伝教大師(最澄)が亡くなられて、令和3年で1200年の大遠忌(だいおんき)を迎えます。ボクは、不思議なご縁に恵まれ、その叡山の麓で暮らすことになりました。

 猫(ねこ)1  私のは鼠(ねずみ)は食わない。そんなことをするのがいやなのだ。つかまえても、それを玩具(おもちゃ)にするだけだ。

 

木魚歳時記 第3824話

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 「衰えは髪かたちばかりかわ」
 と仰せられ、さて、つとお立ち遊ばされた時であった。召されていた白づくめた絹五重のひねりがさねは、ぱらりとほどけ落ちおん足のぐるりにまつわって、宮は淡雪の庭か霙の渚の水沫(みなわ)のなかに裸形で下り立たれたかのようであった。ほほ笑んでおん無言に、これも描けよと仰せられるかにおぼえて無心に筆を走らせた。かがやくような白い胸のふくらみにはみどりの影淡く、めでたくももいみじきけだかさに、わが心の臓(ぞう)はあやしくも高鳴った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)511

        日傘さすどこか怪しきお婆さん

 「ボクの細道]好きな俳句(1574) 佐藤鬼房さん。「月夜しぐれ銀婚の銀降るように」(鬼房) 結婚して25年。それを「銀降るように」と描写されたところが美しい。さて、プレバト(木曜・4チャンネル)の夏井いつきさんの俳句の時間は楽しい。解説と添削は、まさに「神業」に近い。俳句をわかりやすく、初心者のわかるところに引き寄せた功績はすばらしい! さらに、俵万智さんによる短歌の番組(土曜日)も始まるようです。面白くなります。

 白鳥(はくちょう)5  彼は潜(もぐ)る度ごとに、嘴(くちばし)の先で、養分のある泥の底をほじくり、蚯蚓(みみず)を一匹咥(くわ)えて来る。彼は鵞鳥(がちょう)のように肥(ふと)るのである。

 

木魚歳時記 第3823話

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 精根をこめて写し奉ると、美しいお手に(宮は特別にお手のお美しいお方であった)おとりあらせてつくづくと見られ、おん頬をほころばせて、
「さながら鏡に写し出して見るような。そちは世にいみじき上手である。なお勉めよ」
 と、お言葉を賜りながら、宮はつとお手を延ばして明り障子をしめた。若かえでのみどりがほのかに障子に映えた時、宮はつぶやくかのように、
(佐藤春夫『極楽から来た』)510

       梅雨入を知ったその日のクロワッサン

 「ボクの細道]好きな俳句(1573) 佐藤鬼房さん。「夜明路地落書のごと生きのこり」(鬼房) 無季俳句? (夜明けに見た)路地に残された残された落書きのような人生であったなあ・・そんな風に読みましたが? さて、話は変わります。このブログのどこかに、いつか「糞」の字に「まり」とルビを振りました。もちろん『広辞苑』にありません。ボクは「余り」(あまり)の省略かと推察したのですが? 間違いかな(汗)。

 白鳥(はくちょう)4  彼は水に映る空(むな)しき影を追うて疲れ、雲ひときれを捕える時に、おそらくはやがてこの妄想の犠牲となって、死に果てるであろう。
おい、おい、何を言ってるんだ・・

 

木魚歳時記 第3822話

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 と、思いがけない宮の仰せに驚いて、
「ただ今けいこ中の未熟者で、それも手ほどきの師もなきひとりげいこの事、仰せは憚(はばか)りながらご辞退申し上げます。何とぞ他の上手にお仰せつけを」
「いや、たってそなたでなくてはかなわぬ」
と、かねてご用意のあった丹青や筆紙などを取り出させ、重ねての仰せに今はご辞退のすべもない。
(佐藤春夫『極楽から来た』)509

        たかんなの炊き込みごはん食らひたり

 「ボクの細道]好きな俳句(1572) 佐藤鬼房さん。「青森暑し昆虫展のお嬢さん」(鬼房) 作風は一転します! 最近では、青森も北海道も、暑いときは暑いようです。「昆虫展」と「お嬢さん」の取り合わせが、明るく楽しくて、しかも、少々マニアック。さて、田辺聖子さんが亡くなられました。あの『あかん男』で描かれた聖子ブシのことを懐かしく思い出します。

 白鳥(はくちょう)3  一度醒(さ)めた迷夢は、忽(たちま)ち蘇(よみが)える。なんとなれば、雲は間もなく姿を現わし、彼方(かなた)、水面の波紋が消えて行くあたりに、また一つ雲が出てくるからである。
 軽い羽蒲団(はねぶとん)に乗って、静かに白鳥は漕(こ)ぎながら、その方に近づく・・

 

木魚歳時記 第3821話

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 「しばらく見ぬ間に、そなた大した絵の上手になったとほまれを人々が伝えるが、今日召したのはその事である。わが身も、もはや三十九になって老いも遠くはない。それに近いうちに髪をはやそう(髪をおろすの意の忌み詞)と考えている。それにつけて、そなたにわが似顔を描いてほしいのである」
(佐藤春夫『極楽から来た』)508

        短夜や動画サイトの炎上す

 「ボクの細道]好きな俳句(1571) 今井肖子さん。「休日を覆ひ尽くしてゐる桜」(肖子) 休日の、何と早く、過ぎ去ることでしょうか。それもさくら満開の休日ともなれば、一日中、さくらのことで心がいっぱいで、今日一日が過ぎようとしている。さて、「世の中でこれがないと困る」もの、そう問はれたなら、ライフライン(水道・電気・ガス)まず、これらが思い浮かびます。ところで、若い年代層(女性)が、スケジール帳、リップ2本、と、答えたのには驚きました。可愛いい(笑)

 白鳥(はくちょう)2 それから、女の腕が袖口(そでぐち)から現れるように、彼は首引き出す。 なんに取れない。彼はじっと見つめている。雲は愕(おどろ)いて姿を消した。