木魚歳時記 第3565話
(二)はじめは何かと二の足をふんで、弟のせっかくのすすめにも従わなかったえ童子の母も、観覚の熱心に動かされたころ、観覚が最後の手だてに、童子自身が出向いて口説かせたのが功を奏したか、しばらく見ないうちに、急におとなびたわが子の立居ふるまいとその語るところの分別とに安心して、童子の上京もいよいよ母の許しが出た。
(佐藤春夫『極楽から来た』)268
じゃがいもの畑もいつか青々と
「ボクの細道]好きな俳句(1315) 木下夕爾さん。「にせものときまりし壺の夜長かな」(夕爾) 書画、骨董類の鑑定には、時代考証など特別な眼識を必要とします。鑑定士にダメ(贋作)といわれてしまえばそれまで。グチをさしはさむ余地はないでしょう。しかし、先祖伝来の「壺」を贋作と判定されたその夜の長いこと、悔しいこと・・そぞろ寒の季語が効いて来ます。