木魚歳時記 第1749話

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 猫寺

 称念寺の和尚は猫が好きでのう子猫を飼っていた。 ところがこの子猫が、わるさ好きで、或る日のことじゃ。和尚は、虫のいどころが悪くて悪さをする子猫を追い出してしもうた。その晩、寝ている 和尚の枕元に子猫が現れ、「和尚さん、明日、いいことがありますよ」 そういって消えたそうじゃ。 翌日、松平家の使いの者がやってきて、称念寺を松平家の菩提寺に、との申し入れがあったそうじゃ。 そこで和尚は、子猫のことが気になって探してみると、松平家の門前で死んでいたそうじゃ。 それから称念寺も立派になってのう、人は称念寺のことを、猫寺と呼ぶようになったそうじゃ。 〈称念寺:千本通寺の内 〉

     太古より池の形に水草生ふ