木魚歳時記 第147話

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本堂の 牟尼と背くらべ 立葵

 柿のヘタは、ぼってり<熟し>の尻に敷かれっぱなし。黄色くなってへばりついています。ところが、ある夜<熟し>のところにみたこともない大鴉がやってきて、すっかりほじってしまいました。天辺のところに<ヘタ>だけとなって、風にぶらぶらゆれている夢を見て汗ぐっしょりで目がさめました。

 ぼくは、相当に世渡りの下手な男です。(なにを隠そうもう一つ下手なものがあります。)それはともかく、自分でも厭になるくらい世渡りが下手です。「群れるのは嫌い」とか、「好端症」とか、「変態良い子」とか、いろいろいいわけをしていますが、ひょっとすると、本態性「人間ぎらい」なのかも知れません。きっとそうです。

 そんなぼくがここまでこれたのは、<熟し>にへばりついてきたからです。それにしても<ヘタ>だけが残ってしまった夢を見るなんて…これも熱帯夜のせいでしょうか?