木魚歳時記 第3749話 

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 美福の四の宮支持は、この養い孫守仁の登極の日を期待したので、四の宮支持は実はその準備工作にしか過ぎぬ。だから四の宮雅仁新王が後白河天皇になると同時に、守仁を皇太子に立てた。それがまた新院を絶望させ、憤激させた。四の宮はまだ若い。そのうえ永代までの決定では、重仁新王は生涯埋もれ木の運命である。陰忍(いんにん)しつづけた新院のお気持ちは今や一触即発の危機を孕(はら)んでいた。折しも本院の崩御で、新院は最後の御手段に出た。
(佐藤春夫『極楽から来た』)443

       さつきから雲雀がしきりに啼いている  雲雀(ひばり)

 「ボクの細道]好きな俳句(1499) 安住 敦さん。「恋猫の身も世もあらず啼きにけり」(敦) 恋猫の「身も世もあらぬ」とは、おなじみのあの叫びです。あの二人(恋猫)は、いつも天辺の剣が峰を渡りながら恋を貫きます。さあ、もうひと眠りいたしましょうか!

ルナール著『博物誌』(岸田国士訳)

(序)影像の狩人1 朝早くとび起きて、頭はすがすがしく、気持ちは澄み、からだも夏の衣装のように軽やかな時にだけ、彼は出かける。別に食い物などは持って行かない。 みちみち、新鮮な空気を飲み、健康な香りを鼻いっぱいに吸い込む。獲物(えもの)も家へ置いて行く。 

 

木魚歳時記 第3748話 

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 歌えば地上の憤りも悲しみもみな歓喜と化して魂は天外に天駆ける。歌菩薩という菩薩もある道理である。彼は歌で成仏しようと修行しているので、決してただの道楽ではない。しかし歌うところが今様(いまよう)という当年の流行歌謡であるから人々がご身分に似合わぬお道楽と見るのも無理はない。
 それに十七の時、大納言の女に一子守仁を生まして、その子の母が早世したので、義祖母の美福門院が二十七歳の若さでこれを引き取って養っていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)442

        飛花落花日本列島マグマ論

 「ボクの細道]好きな俳句(1498) 安住 敦さん。「春昼や魔法の利かぬ魔法瓶」(敦) 春昼(しゅんちゅう)ともなれば・・魔法瓶の魔法(保温効果)がゆるくなる? 話は外れます。日常、関心のない、我が家の冷蔵庫をひらき、冷凍庫のあまりにも「満タン」ぶりにギョとしました。「冷凍庫は魔法の貯蔵室でありません!」なんて余計な口出しをしたところ「冷凍庫はあるていどしっかり詰めてもいいの」「あんたみたいなスカスカはあかんの!」相棒に逆襲されました(汗)。さて、次回より、少々ロングラン(分割掲載)となりますが、ルナール著『博物誌』(岸田国士訳)ご紹介します。昆虫・小動物・自然を描いた名作をお楽しみください。

 

木魚歳時記 第3747話 

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 これが世間で四の宮を道楽者と評判する理由であるが、四の宮自身は決してただの道楽者とは思っていない。はじめ結縁灌頂(けちえんかんじょう)で敷き曼荼羅(まんだら)に花を投げたら、歌菩薩(ぼさつ)の上に落ちてそれが生涯の本尊仏となったのを喜び、それに仕えた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)441

        回転木馬どこもうごかぬ春の宵 

 「ボクの細道]好きな俳句(1497) 安住 敦さん。「本ばかり読んでゐる子の夏畢る」(敦) これは、わが子のことか? それとも、子どもの頃(自身)の回想か? ボクは後者だと思います。なぜなら、このボクも、夏休みの宿題などほったらかしのまま、兄の書斎の『江戸川乱歩全集』を読み耽っていました。さて、サバンナモンキー。アフリカのサバンナに生息する、サバンナモンキーの金玉(きんぎょく)は、目の覚めるようなスカイブルー(真っ青)です。これは、ニホンザルの顔面が真っ赤なのとおんなじで、その色(真っ青)の鮮やかさで、個体の優劣を競います。それにしても、あんな処で見せて優劣を競うなんて・・

 

木魚歳時記 第3746話 

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 ひとり居に閉じこめられていた時と同様に、毎晩歌いつづけた。鳥羽殿に在った時は五十日ばかり歌い明かし、同好集まって東三条で船に乗り、人々を召し集めて四十日あまり、毎晩日の出るまで徹夜で歌い明かした」はじめは師匠もなく友達などと歌っていたのが追々とその道の達者を、それからそれへとツテを求めて師匠にする。歌の上手ととさえ聞けば相手が遊女であろうと女傀儡子(くぐつめ)(賤業の女遊芸人)であろうと召し招く。相手が場所がらをはばかって来なければ出かけて行く。
(佐藤春夫『極楽から来た』)440

       うす煙なほ地をつたふ水仙峡

「ボクの細道]好きな俳句(1496) 安住 敦さん。「夏休みも半ばの雨となりにけり」(敦) 子どもの夏休みのことでしょうか? 夏休みでも・・旅行とか何処に連れていけないまま、はや、半ばが過ぎようとしています。今日も、雨の一日となりそうです。さて、ラクダのコブ。ラクダは背中にあるコブがトレード・マークです。これには、水分や脂肪が蓄積されていて、非常用の「水」やエネルギーに転換して用いるのだそうです。ですから、コブ(脂肪)のお蔭で体温調節もでき、暑いサバクを長時間歩き続けることができるのです。

 

木魚歳時記 第3745話 

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 ところで問題の四の宮はおん母待賢門院に死別の安久元年には、まだ十八歳の少年であった、当時の回想をおん自ら記すところでは、
「灯の消えた闇のなかにしょんぼりといるような心細さにしおれ切っているのを見て、中陰明けとともに崇徳院が新院と呼ばれて時であったが、ここに来て住むがよいと仰言(おっしゃ)ってくださったので、あまりお側近くで遠慮があるといいながらも、好きな道は我慢がならず、
(佐藤春夫『極楽から来た』)439

        芋を焼く青き煙や過疎の村

 「ボクの細道]好きな俳句(1495) 安住 敦さん。「鳥雲に子の妻は子に選ばしめ」(敦) むむむ。「子の妻は子に」。それはそうでしょう。それにしても「鳥雲に」が絶妙に効いています。さて、オウサマペンギン。王様ペンギンの子は親よりでかくなる時期があります。ボクも動物園で、親よりでかいふさふさの子どもペンギンを見てギョとしました。冬場に備えて親が与える餌を食べまくるからでかくなるそうです。海の凍る(南極)では、冬場は餌が少なく、半数ほどのヒナが死ぬのだそうです。自然は厳しいのです。

 

 

木魚歳時記 第3744話 

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 しかも美福が四の宮の支持者になって俄然有力である。美福は生さぬ仲の皇子とはいえ、四の宮の見どころを見、また愛児を呪い殺した新院の直系よりは四の宮を推す。いや別にもっと理由もあった。
新院がたとい躍起になり、世間がそれをどれほど支持しようとも、その生母兵衛佐局(ひょうえのすけのつぼね)が氏も素性も知れないとあっては、他に皇子皇女が絶無でない限り、重仁親王はまるで問題外である。それを知って新院は自身重祚(じゅうそ)と乗り出してきた。とかく頼長の智謀は厄介である。
(佐藤春夫『極楽から来た』)438

       唐黍をほくほく噛んで空也の忌 

 「ボクの細道]好きな俳句(1494) 安住 敦さん。「雪の降る町といふ唄ありし忘れたり」(敦) 「雪の降る町」は有名な童謡です。ところで童謡に唄われる「雪」は季語となるのでしょうか? だれでも知っている童謡ですから、確かに「季感」は充分にあります。まっ、そんなことはどうでもいいことです。さて、ハトを裏返す(手のひらに上向けにする)と、じっとうごかないでいます。これはボクもハトを飼ったことがあるのでわかります。この「死んだふり」はハトの防衛本能の一つでしょうか? 悪賢い手品師が、このハト本能をうまく利用したのです。

 

木魚歳時記 第3743話 

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(五)四の宮。法皇の第四皇子雅仁(まさひと)親王は待賢門院のお子、新院とは同腹の兄弟で、現に今も同棲している程の仲だから、この点は中立的候補で好都合である。これが法皇がうなずいたわけ。
 ところが、四の宮は「文にも非ず、武にも非ず」賢愚を超越、世上に取り沙汰される道楽者で、父の法皇は、彼を到底、帝王の器でないと一介の不良少年視して久しく見捨てていた。それが思いがけなく候補になる。
(佐藤春夫『極楽から来た』)437

       山頭火忌みんなで酒を飲んでいる 

 「ボクの細道]好きな俳句(1493) 安住 敦さん。「ある晴れた日につばくらめかへりけり」(敦) 燕は、毎年、定めた場所に営巣することが多いようです。それも民家の軒下に。そして、家人たちは、そしらぬ顔で燕たちの子育てを見守ります。やがて彼らは、あいさつもなしに南の国へと旅立って行きます。さて、ワニの性別。人間の男女の比率は約半々? ところで、ミシシッピーワニ(鰐)の性別は卵のある地面の温度で決まるそうです! 気温、30度以下ならすべてメス。33・5度以上ならすべてオス。その中間はオスもメスもうまれるそうです。生きモノの性別についてはいろいろと不思議なことがありそうです。