木魚歳時記 第3122話

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 「今日のことば」
     (髪をふりみだした雪婆んごは)
    「ひゆう、ひゆう、なまけちや承知しないよ。
    降らすんだよ、さあ、ひゆう。
    今日は水仙月の四日だよ。
    ひゆう、ひゆう、ひゆう、ひゆうひゆう。」
    (宮沢賢治「水仙月の四日」)5

 「ボクの細道]好きな俳句(870) 金子兜太さん。「曼珠沙華どれも腹出し秩父の子」(兜太) ワン白小僧が腹を出して遊びほうけるのは、埼玉県の秩父地方だけではないでしょう。しかし、真っ赤な「曼珠沙華」と「腹出し遊ぶ子」と「兜太さん」のイメージ重をかさねると、なお、作品が生き生きします。    

        短夜のハリーポッター最新版

 

木魚歳時記 第3121話

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 「今日のことば」
     (雪婆んごは髪をなびかせ)
    「ひゆう、ひゆう、さあしつかりやるんだよ。
    なまけちやいけないよ。ひゆう、ひゆう。
    さしつかりやつてお呉(く)れ、今日は
    ここらは水仙月の四日だよ。
    さあ、しつかりさ、ひゆう。」
     (宮沢賢治「水仙月の四日」)4

 「ボクの細道]好きな俳句(869) 前田普羅さん。「むらむらと雀が通る夕立晴」(普羅) 小林一茶さんの「雀の子そこのけそこのけお馬が通る」(一茶)は有名です。普羅さんの俳句も、まるで昔の、参勤交代の行列が街道をゆくように、たくさんの雀が「むらむらと」湧いて出て並んでいる。それがなんとも楽しくて、雀たちへの愛情をこめた一句と読みました。

       世の中がどうあろうとも冷素麺 

                   冷素麺(ひやそうめん) 

 

木魚歳時記 第3120話

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 「今日のことば」
     (雪婆んごが帰ってきた)
    「ひゆう、なにをぐずぐずしてゐるの。
    さあ降らすんだよ、ひゆうひゆうひゆう。
    ひゆうひゆう、降らすんだよ、
    飛ばすんだよ。」
     (宮沢賢治「水仙月の四日」)3

 「ボクの細道]好きな俳句(868) 川端茅舎さん。「咳暑し茅舎小便又漏らす」(茅舎) 茅舎さんは、肺患の悪化により43歳で早世されたようです。俗に「茅舎浄土」と称される、荘厳な自然賛美の作品が多く残されています。ブログ作者は、最近「変な気分」になることがあります。これはアブナイかも! このことを相棒に申告いたしますと、「老衰や。しゃあない」。それでおしまい。

       相棒の鬢のほつれや昼寝覚  

                     鬢(びん)

木魚歳時記 第3119話

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 「今日のことば」
    (狼たちは)
    「アンドロメデタ、
    あぜみちの花がもう咲くぞ、
    おまへのランプのアルコホル
    しゆしゅうと噴かせ。」
     (宮沢賢治「水仙月の四日」)2

 「ボクの細道]好きな俳句(867) 筑紫盤井さん。「目前で僧がのろへる大暑かな」(盤井) お坊さんでも暑いときは暑いのです! お坊さんにとって一番に忙しいお盆の棚経(たなぎょう)ことでしょうか? お檀家さまの名前を記したメモを見ながら、「ああ、後、5軒や、暑いなあぁ」おもわず呟いたのでしょうか? かくいうブログ作者も、それに似たような体験を50年余り続けてきました。暑かったです。

         雷鳴のした時すでに落ちてゐる
       

木魚歳時記 第3118話

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 「今日のことば」
     (雪童子と狼たち)
    「カシオピア、
    もう水仙が咲き出すぞ
    おまへのガラスの水車
    さつさとまはせ。」
     (宮沢賢治「水仙月の四日」)1

 「ボクの細道]好きな俳句(866) 柿本多映さん。「真夏日の鳥は骨まで見せて飛ぶ」(多映) きっと川鵜のことでしょう(そう思います)。川鵜は、羽根をひろげて天日干することがあります。そんなとき肋骨が透けて見えます。また、川鵜がやってくるとそのあたりの小魚が根こそぎ食われることがあります。そんな川鵜が頭上をゆくときは(見たわけではありませんが)バサバサと音がするのでしょう!

       石ころにしがみつきたる青蛙

木魚歳時記 第3117話

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 「今日のことば」
     (帰りは)
    ひゆう、ぱちつ。 
    馬車は草地をはなれました。
    木や藪がけむりのやうに
    ぐらぐらゆれました。
     (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)15  おわり

   「ボクの細道]好きな俳句(865) 草間時彦さん。「休日は老後に似たり砂糖水」(時彦) 休日に<のんびりだらり>とするのもいいようですが・・「砂糖水」のように口あたりはいいけど後が「かったるい!」。それは「老後」のようなもの! と、作者はいいたいのですが果たして? ボクの休日ともなれば事情は一変いたします。義務も責任も拘束も、何もかもないのに「一日」の過ぎるのが早い早い。「老人は日向に置いたかき氷」。みたいなものです。嗚呼。 

      牛蛙もう出るころや会ひにゆく

木魚歳時記 第3116話

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 「今日のことば」
    どんぐりは、
    しいんとしてしまいました。
    それはそれは
    しいんとして
    堅まつてしまいました。
     (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)14

  「ボクの細道]好きな俳句(864) 田川飛旅子さん。「非常口に緑の男いつも逃げ」(飛旅子) 「新緑」(夏季)のことを、傍題で「緑」(みどり)ともいうようですが、この作品は句意からすると無季俳句ということになるのでしょう。しかし、まあ、よくこんなところ(非常口の表示)に気が付くとは! 恐れいりました。だだし、助詞「に」は必要か? ボクなら「非常口緑の男いつも逃げ」といたしますが? 

        老僧のあみだにかぶる夏帽子