木魚歳時記 第3115話

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 「今日のことば」
     (一郎は)
    「そんなら、このなかでいちばん
    ばかで、めちやくちやで、まるで
    なつてなゐのが
    いちばんえらいとね。
     (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)13

 「ボクの細道]好きな俳句(863) 星野麥丘さん。「赤い花咲いて六月了りけり」(麥丘人) むつかしことをやさしく。やさしいことをより深く。より深いことを楽しく。」(井上ひさし)。俳句を作るとき、ボクは常にこの言葉を思い出すことにしています。掲句は、楽しいかどうか? それはともかく、なにか読んでいてすっきりとします。

        おしなべて黴の生えたる善後策

木魚歳時記 第3114話

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 「今日のことば」
     (どんぐり)
    「いいえ、ちがいます。
    まるいのがえらいのです。」
    「さうでないよ。
    大きいことだよ。」
    がやがやがや、もうなにがなんだか
    わからなくなりました。
     (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)12

 「ボクの細道]好きな俳句(862) 瀧井孝作さん。「たつぷりとたゆたふ蚊帳の中たるみ」(孝作) それがどうした! しかし、こんな作品も良いと感じるようになりました。さて、数年ぶりに、NHK俳壇(7月2日)に入選(今井聖選)しました。暗い、暗い、暗い。と、さんざんにいわれました。わかっています。晩が来て、朝が来て、昼になって、また「夜」が来る。その早いこと! あっ。タブーの「自解」(自作の解説)を犯してしまいました(汗)。

        明易し昼がまた来る高齢者

 

木魚歳時記 第3113話

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 「今日のことば」
     (やま猫)
    「裁判ももうけふで三日目だぞ
    いゝ加減に仲なほりしたらどうだ。」
     (どんぐり)
    「いえいえ、だめです。
    なんといつたつて、
    頭の尖つてゐるのがいちばん
    えらいのです。」
     (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)11

 「ボクの細道]好きな俳句(861) 池内友次郎さん。「もの言はず香水賣子手を棚に」(友次郎) おなじみの、いつもの客が来たのでしょう。客の注文も聞かずにふいと立ち上がり、そばの棚の高いところの香水に手を伸ばしたというのです。そのなにげない動作に「軽味」(かるみ)を感じる作品です。夏井いつきさんのいう「俳句は楽しく」のお手本のような作品です。 

        ごきぶりや死んだふりする問責人

 

木魚歳時記 第3112話

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 「今日のことば」
      (裁判)
    山ねこは、
    マッチをしゆつと擦つて、わざと顔をしかめて、
    青いけむりをふうと吐きました。
    (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)10

 「ボクの細道]好きな俳句(860) 中村草田男さん。「老婆外寝奪はるべきもの何もなし」(草田男) むむ。それはそうです。しかし、さすがにここまで言い切ることはボクには出来ません(汗)。昔は、(同窓会で)大黒さんの帰りが夜中になると、あらぬ妄想がふくらんで来て、微妙な心境になることもありました。しかし、今は、草田男さんの奥さまとおなじく右にならえです。もうそれは「悟り」の境地です(汗)。 
       

        青嵐あれから子猫みかけない

 

木魚歳時記 第3111話

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 「今日のことば」
    くるみの梢を、栗鼠がぴよんととんでゐました。
    「おい、りす、やまねこがここを通らなかつたかい。」
    するとりすは、「やまねこなら、けさまだくらいうちに
    馬車でみなみの方へ飛んで行きましたよ。」
     (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)9

 「ボクの細道]好きな俳句(859) 中村草田男さん。「はつきりと翡翠色にとびにけり」(草田男) 翡翠(カワセミ)のことだと思います。カワセミは、嘴、頭、背中にかけて見事な翡翠色(ひすいいろ)をしています。また、(魚を狙って)池に飛び込む一瞬を、カメラを構えた人たちは、2、3、時間でも待ちます。カワセミが飛ぶと翡翠色の横一線となります。

       
      点滴の真っ最中や蚊が一匹

木魚歳時記 第3110話

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 「今日のことば」
    「おい、きのこ、やまねこが、ここを通らなかつたかい。」
    するときのこは「やまねこなら けさはやく 南の方に
    飛んで行きましたよ。」
     (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)8

 「ボクの細道]好きな俳句(858) 橋本美代子さん。「わが金魚死せり初めてわが手にとる」(美代子) 作者は、確か、橋本多佳子さんの娘さん、でしたか? それはともかく、なるほど、金魚を手に取ることは金魚が死んだときくらい? さて、ボクは、妻のことを「和子」と呼んだ記憶がありません。お母さん。オイ(ひどい)。いまさら「和子」はてれくさい。ですから、妻の手を握り「ありがとう和子」。と呼ぶのは、ターミナル(終末)まで残しておきます(汗)。

       梅雨晴のどこを切つてもお母さん

 

木魚歳時記 第3109話

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 「今日のことば」
    ぶなの木の下に、
    たくさんな白いきのこが、どつてこどつてこと、
    変な楽隊をやつてゐました。
    (宮沢賢治「どんぐりと山猫」)7

 「ボクの細道]好きな俳句(857) 上田五千石さん。「けふのことけふに終らぬ日傘捲く」(五千石) 「今日もありがとう」。相棒に、そういってからボクは就寝することにしています。八十路(やそじ)ともなれば、今日、何が起こるか、明日何が待っているか? それは定かでありません。ですから、今日一日、無事で過ごせたことに感謝をして終えることにしています。

      さつそくにおいでおいでとビアガーデン