木魚歳時記 第3805話 

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(三)門院は今までにただ二度見たばかりであったが、すっかり気に入ってその母親をうらやましいいばかりに思ったその子を、まのあたりにありありと思い浮かべつつ思うのであった。
 あんな元気のいいにこにこした子がしょげているとか、今はどんあいやな夢を見つづけているものやら、慰めに行ってやりたいような気もする。
(佐藤春夫『極楽から来た』)494

       さつきからひときは騒ぐ揚ひばり 

 「ボクの細道]好きな俳句(1556) 石原八束さん。「薪能観てきて籠る秋簾」(八束) 薪能の晴れ舞台から帰り、秋簾(あきすだれ)の和室に籠るとは・・作者は、粋な時代に生きられたと羨ましく思います。「籠る」とあります、その場所が・・我が家なのか、はたまた、それらしき粋な処なのか、それは読者の興味をそそられるところではありますが・・

 小紋鳥(こもんちょう)7
   いったい、どうしたのだ?
   彼女は胸に一物あって、芝居をやっているのである 。
   彼女は野原に行って卵を産んできたのだ。
   私は気が向けば、そいつを捜しに行ってもいい。
   彼女は、佝僂(せむし)のように、埃(ほこり)のなかを転げ回っている。