木魚歳時記

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木魚歳時記 第3298話

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しかし定国がまだ壮年で亡くなられた主君を追慕し追慕し奉る至誠のかげにも、一片の私心がないわけではない。彼の立身の途がこれで全く閉され栄達の夢が暗黒に葬られ去った絶望感をもたらせているのであろうと宗輔は宗輔らしくこれを聞いて定国に同情した。
 事実、目下の定国は立身の途、栄達の夢どころか父子二人の口を糊(のり)するにも困っている始末であったから、定国父子は宗輔の計らいにより、亡き主上の女御(にょうご)で第一皇子のおん母たる藤原氏にいまは帰属した彼等の故郷の弓削の荘園に預所(現地管財人)として美作の国に下っていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)4

      月天心寝たるふりする東山

 「ボクの細道]好きな俳句(1049) 秋元不死男さん。「ねたきりのわがつかみたし銀河の尾」(不死男) かぎりなく美しい銀河も、その始まりと終わりはさだかでありません。と、おなじように寝たきりのわが身のゆく末もさだかでない。たしかなのは、「独り裸で生まれ独り裸で死んでゆく」ことだけであります。