木魚歳時記 第2274話

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 (出家)(ビンビサーラは云う)「かれは眼を下に向けて気をつけている。この人は賤(いや)しい家の出身ではないようだ。使者どもよ、走り追え、この修行者はどこに行くのだろう。」(スッタニパータ)

 [ボクの細道]好きな俳句(46) 京極杞陽さん。「蠅とんでくるや箪笥の角よけて」(杞陽) ハエがすうっと弧を描きながら、箪笥(たんす)の角を曲がり飛んで来たというのです。ただそれだけのことであります。しかし、蠅のクセ(習性)と、古びたタンスがある小部屋の様子と、作者の倦怠感(おそらく)まで伝わってきます。何の変哲もない一瞬をとらえ「角よけて」と映像化できるところが非凡なのです。 

          春昼の狐坂へとまわり道