木魚歳時記 第1655話

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   石段のはじめは地べた秋祭   三橋敏雄

 山手に向かって歩いていると、やがて登り坂となり、突然、寺名を記した碑(いしぶみ)と寺へと続く石段が現れました。と、どこへ行っても見かける風景です。ところで、これを俳句に詠もうとすると、見あげるような石段が、落ち葉の中のドングリが、そんな情景描写を思いつくものです。ところが「石段のはじめは地べた」とは、うーん、まいりました。それと「秋祭」の取り合わせが絶妙です。

      棒ありて尺取虫の曲りけり