木魚歳時記 第757話

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 七十年。清貧(せいひん)とはいえないが、質素な暮らしでした。富貴(ふうき)とはいえないが、寺を守り、子どもたちを育てました。みなさまのお蔭です。

    「富貴は慈悲より来る」(大乗の十来)1

 鷹に追われた鳩が比丘(びく)の懐(ふところ)に入った。やがて鷹がやって来て、鳩をよこせと迫る。やりとりがあって、鳩の肉の分だけ比丘(びく)の肉を渡すことで話がついた。比丘(びく)は右のもも肉を削(そ)いで秤(はかり)に乗せた、が足らない。つぎに左のもも肉も削(そ)いだ、がまだ足らない。つぎつぎと比丘(びく)は肉を削いでいった。そしてついに「自身のすべてを捧げよう」と秤(はかり)によじ登ろうとした。そのとき、鷹に姿を変えていた帝釈天(たいしゃくてん)は云った「比丘(びく)よあなたこそ仏になりたまう」と。

      天帝の粋なウインク春一番