密教(みっきょう)系の僧侶は、読経をされる前に「手印」(しゅいん)といって、指の屈伸による秘密(ひみつ)の作法をされます。それに接しますと厳かで身のひきしまる思いがすることは確かです。
「密なるものの語る声は静か」(梅原 猛)
「秘密」(ひみつ)とは、仏法の奥義が誤って受け入れられることを避けるために、師匠から弟子に口伝(くでん)とか、手印(しゅいん)により直伝(じきでん)したことを指します。伝統的な職業において、その工夫などをたやすく真似られることを避けて秘伝(ひでん)・家伝として受継ぐことがあるのも、こうしたところから発生したのでしょう。