木魚歳時記 第333話

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老納も 覗き込むなり 紅椿

 「老納のさっさと掃きて落椿」こんな名句があります。しかし、ぼくはこんな達観した心境にはなれません。他の人たちがするように、それもなるべく落ちかけ崩れかけの椿の花をさがして、まじまじと覗き込んで帰ってきました。

  「ひょっとすると、
   ぼくはできそこないではあるまいか」(迷亭 木魚)

 何のために隠すのか?隠すからなを見たくなる?このどうどうめぐり、永遠に尽きない欲望・行為がなかったら、文学、美術、芸術、文化・・・いや人類の進化・生存さえありえなかった?こんな愚にもつかないことを考えながらぼくの一生は終わります。