木魚歳時記 第201話

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猿落ちて 魚木に登る 涅槃かな

 「万物は移り変わる」(諸行無常)。この真理を実践することで、心が自由となり「執着」から開放されるのです。

 「何物も自分のものではない、と知るのが智慧であり、苦しみから離れ、清らかになる道である。」(ダンマパダ)

 『スッタニパータ』とならび、やはり原始仏典の『ダンマパダ』にあることばです。さて「自分の物ではない」とは、どのような意味でしょうか?それは「私のものと握りしめるな」ということです。なぜなら、世の中すべて無常であるならば、例えば、若さであれ、健康であれ、命であれ、財産であれ、家族、恋人であれ、永遠不滅に私の自由になる…そんな存在はこの世にありえないからです。

 仏教が説く「無我」(むが)とは、ときに自分の望まない状況にぶつかり、それが自分の思いどうりにならないとしても、「自分であって自分でない。」つまり、自分を乗り越えたスタンスで、真正面からそれと向きあって生きなさい。そのことを説いた教えなのです。


   「凡人も 酒肉も入る 涅槃門」