2013-12-21から1日間の記事一覧

木魚歳時記 第368話

鴉かあ 一休悟る おぼろの夜 トンチで有名な一休禅師は、堅田の祥瑞寺で修行され、夜半鳴く鴉の声で大悟されたそうです。悟りのきっかけとは、難行苦行の結果ではなくそういうものかも知れません。 「おシャカさまは良いこといっていますよ 苦しむことは楽し…

木魚歳時記 第367話

堅田責 浄土へつづく 蜷の道 湖族の町・堅田はかって琵琶湖交易の要衝として栄えました。そのころ事情があって、蓮如を慕う堅田衆(門徒)を比叡山(天台宗)の僧兵が襲いました。「堅田責」です。争いで死んだ湖族は蜷(にな)となってお浄土へ向かったので…

木魚歳時記 第366話

老衲も まわり道する 朧の夜 二番目の娘は福祉を学びました。実習で甲賀の施設にいったとき、電話でこんなことを云ってきたのを覚えています「お父さん星がとってもきれいに見える」。たよりない娘と思っていましたが、転勤々々にもめげずみんな元気にやって…

木魚歳時記 第365話

山姥の はくれんとなり 獣道 悟ったような顔で説教しますが、実は、ぼくは「修羅場」の体験などありません。ですから、山奥の獣道の「ドラマ」など語る資格はないのですが、どうしたものか、ぼくのアンソロジー(詞華集)には、山姥がよく登場します。 「死…

木魚歳時記 第364話

菜の花の なかに潜りて 眠りける 一面の菜の花畑を見ていると・・・あの中に入って眠れば気持ちいいだろうと考えているうちに、ぼくは、一匹の虫に変身しました。そして、ほんとうに菜の花の中に入って眠ってしまったのです。 「生きて行くことは案外 むずか…

木魚歳時記 第363話

春深し 休業とある 喫茶店 ひさしぶりに、お馴染みの喫茶店の前を通りかかったところ「休業」の張り紙がしてありました。ものみな芽吹くこの頃に、おなじみの店が閉じるのはやはり寂しいことであります。こうしたご時勢ですから、仕方のない事情があるのでし…

木魚歳時記 第362話

病弱の 魚とむらひて 風光る 現実に病弱の魚が、居ようと居まいと。現実に「風光る」のが見えようと見えまいと。ぼくのアンソロジー(詞華集)には、こんな俳句?がふさわしいと考えています。ですから「風光る」中でぼくの柩車は出てゆく・・・そうありたい…

木魚歳時記 第361話

蛤の 付根あたりの 恐しや 下司(げす)の俳句?で恐縮です。蛤の形状をつぶさに観察して「雀の斑」とか、そんな表現では、ぼくとしては「腹ふくるるわざ」なのです。つい、本音を吐いてしまいました。破戒僧です。(錦小路で買った蛤が2回も役に立ちました…

木魚歳時記 第360話

神苑は 枝垂れ桜の シンホニー 平安神宮は、建都1100年(明治28年)を記念して造営された神社です。桓武天皇をお祀りしています。それから、はや、百有余年です。 「花はなぜうつくしいか ひとすじの気持ちで咲いているからだ」(八木 重吉) 芭蕉は「…

木魚歳時記 第359話

山又山 吉野はすべて 花霞 役小角(えんのおづち)により開かれた今峯山寺は、修験道の霊場として知られ、10万本いわれる神木の桜が名所となっています。奥千本を下ると、山桜が霞とたなびいていました。 「怠情のときは怠情を知らず」(春日 潜庵) ぼく…

木魚歳時記 第358話

山姥の 丑三に起き 桜餅 「山姥も二つ喰ふなり桜餅」。以前の俳句?です。同工異曲というより、前の方が面白い。ぼくの俳句は、このようにだんだんと駄目になってきています。なんでやろ? 「私は多くのことを企てたが、何ひとつ やり遂げなかった」(グロチ…

木魚歳時記 第357話

蛤汁に 悪漢ころり 大往生 悪漢とは、ぼくのことです、弁解の余地はありません。錦小路に出かけて、蛤を買ってきて、写真に撮って、それから「蛤汁」(はまつゆ」にして食べてしまいました。悪漢です。 「快楽は常に来るものと思うな。 常に去るものと思え」…

木魚歳時記 第356話

草餅を のどの仏へ 三口半 老衲(ろうのう)つまり老僧も「よもぎ餅」が好物です。子どもの頃、母親が<よもぎ>をすって「よもぎ餅」を作ってくれました。あの歯ざわりと香りは、いまも忘れられません。「時は自然に淘汰してくれる。やっぱりなんといっても…

木魚歳時記 第355話

末端に 吾もつらなれり 仏生会 仏生会(ぶっしょうえ)は釈迦の誕生日(4月8日)を祝って各寺院で行われます。ちょうど桜の満開となる季節ですから「花祭」とも呼ばれています。さくらの「花御堂」(はなみどう)に誕生仏をお祭りし、甘茶をかけて息災を祈…

木魚歳時記 第354話

青くさき 蛇奔らせて 昼蛙 蛙を探しましたが見つかりません(この季節にあたりまえ?)。さらに、都会で蛇を見るのも困難となりました。ところで、俳句の世界では「季語」が重なるのを避けるようですが、なんだか不自然なような気もします。短詩型の中での必…

木魚歳時記 第353話

饒舌の なにやらゆかし 四月馬鹿 日頃から、饒舌(おしゃべり)で、軽薄短小なぼくですが、かえってエプリルプールの日は、おくゆかしく感じられる・・・まあ「ホリエモン」も出てくる時代ですから、少々のはったりくらいでは「四月馬鹿」のジョークとして成…

木魚歳時記 第352話

分校の なまけ時計や 遠蛙 中学生の頃は、貧乏で、いつも腹を空かせていました。そこで母親の作った弁当は、一講時(10時半)が終わると平らげていました。そんなとき、終業チャイムが待ち遠しくて・・・ 「おこるなしゃべるなむさぼるな、 ゆっくりあるけ…

木魚歳時記 第351話

くれないの 近くて遠き 桃の花 林の中に、燃え立つような「紅一点」を見つけて近づいてみました。しかし、それは予想外に遠かった。桃の花でした。なんだか、こんな体験は外にもありそうで・・・年甲斐もなく、惚れっぽいのがぼくの欠点です。さて「桃の花」…

木魚歳時記 第350話

お昼から あなただめよと 猫の恋 猫の妻は「あなた止めて」と考えます。猫の夫(つま)は「まあええやんか」と考えます。右の写真を見て、猫の妻は、ビコー(尾行)の場面を想像します。猫の夫は、コービ(交尾)の場面と考えます。そして世の中おかしくなっ…

木魚歳時記 第349話

芽柳も 酔ひて候ふ 酒の蔵 「月桂冠」の大倉酒造、「黄桜」カッパカントリーなど、京都伏見の酒蔵が建ちならぶあたりは、また、柳の名所でもあります。土蔵の酒蔵は、ステンレス製の「酒タワー」に世代交代し、酒蔵は記念館として生き残っています。 「嫉妬…