木魚歳時記 第3085話

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 「今日のことば」
    鴉(からす)「なんだ(コア)? なんだ(コア)?

      なんだ(コア)?」
    「なんでもない」
    (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(841) 能村登四郎さん。「行く春を死でしめくくる人ひとり」(登四郎) 能村登四郎さんは、以前に、作品をまとめてご紹介した、正木ゆう子さんのお師匠さんです。掲句を見て思い出しました。登四郎さんの、飄々とされて、ものごとに動じない一徹さを感じる容貌(写真)を拝見した記憶があります。さて、弘法大師さまに「生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めに暗く、死に死に死に死んで死の終わりに冥(くら)し。」のお言葉があります。

       いぬふぐりほどに小ひさく生まれけり
       

木魚歳時記 第3084話

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 「今日のことば」
    くろ鶫(つむぎ)
    樫鳥(かけす)―「のべつ黒装束で、見苦しいやつだ、くろ鶫って!」
    くろ鶫―「群長閣下、わたくしはこれしか着るものがないのです!」
     (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(840) 寺山修司さん。「アカハタと葱置くベット五月来たる」(修司) 「アカハタ」とは、共産党機関紙のことでしょうか? そういえば、以前は、メーデー(春闘)の行事も盛んでした。つまり、「メイ・フアスト・イズ・メイデイ」でありました。最近は「都民ファースト」「アメリカンファースト」です。しかし自分だけが・・その考え方でいいのでしょうか! 仏教では「共生」(ともいき)と説きます。

        風光る夢二彦乃の寓居跡

木魚歳時記 第3083話

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 「今日のことば」
    鵲(かささぎ)
    鵲―「カカカカカカ・・」
    蛙―「何を言ってやがるんだ、あの女(あま)は」
    鵲―「歌をうたってるのよ」
    蛙―「ゲェッ!」
    土竜(もぐら)―「静かにしろい、やい、上のやつ、
       仕事をしているのが聞こえやしねえ」
     (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(839) 草間時彦さん。「月曜は銀座で飲む日おぼろかな」(時彦) こんな経験をせずにボクは終えるでしょう(と思います)。というのは、最近、お酒をあまり飲みたくない! 他の方(同年齢)も似たり寄ったりだそうです? それにしても、おぼろ月夜の銀座をほろよいで歩くなんて、なんだか素敵なことですよね。

         ぼうたんの重い重い死むむむむ

木魚歳時記 第3082話

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 「今日のことば」
    あぶら虫
    鍵穴のように、黒く、ぺしゃんこだ。
    (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(838) 石田郷子さん。「梅干すといふことひとつひとつかな」(郷子) 農家の作業とは、大方、そうした手順の繰り返しでありましょう。農耕の機械化が進んだとはいえ、今も、これからも、「ひとつひとつ」の原則は変わらないでしょう。なぜならば、「ひとつひとつ」育てたのですから。それはともかく、郷子さんの作品は、衒(てら)いも気負いもなく、自然そのものですから、読んでいて清々しい気持ちになります。

         白藤の咲きほこりたる離宮道

 

木魚歳時記 第3081話

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 「今日のことば」
    栗鼠(りす)
    羽飾りだ! 羽飾りだ!
    さよう、それに違いない。
    だがね、君、そいつは
    そんなところへ着けるもんじゃないよ。
     (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(837) 池田澄子さん。「太陽は古くて立派鳥の恋」(澄子) 燦々とふりそそぐ太陽のひかりの中で、若葉が茂り、茂みをくぐり抜ける風の中で鳥の恋が芽生えます。昔も、今も、これからも・・そのことは変わりなく続けられてゆくのでしょう。「太陽は古くて立派。」その太陽系にある惑星の中で、水の惑星と称されるこの地球にかぎり、鳥の恋が、そのほか「生きとし生きるもの」の営みが続くことに感謝を捧げたいと思います。

         東海の雀蛤と化す倭奴国 

                  倭奴国(わのなこく)

木魚歳時記 第3080話

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 「今日のことば」

    蚤(のみ)
    弾機(ばね)仕掛けの煙草(たばこ)の粉。
    (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(836) 石田郷子さん。「さへづりのだんだん吾を容れにけり」(郷子) さいしょ、遠慮がちであった小鳥たちの囀りも、やがて、わたくしの存在を認めてくれたのでしょうか? だれに遠慮することもなく大きなひろがりとなってゆきます。小鳥たちも、わたくしも、幸せなとなる一瞬です。そこで、駄句を一句「囀りの中で接吻してみたい」。嗚呼。

        花びらの天下和順や朴の花

                    天下(てんげ)

木魚歳時記 第3079話

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 「今日のことば」
    蟻
    一匹一匹が、3という数字に似ている。
    それも、いること、いること!
    どれくらいいるかというと、
    ωωωωωωωω・・
    ああ、きりがない。
    (ルナール『博物誌』)

 「ボクの細道]好きな俳句(835) 木下夕爾さん。「つくねんと木馬よ春の星ともり」(夕爾) 遊園地の回転木馬でしょうか。昼間の喧噪に比べてあらゆるものが眠りに就いたいま、木馬たちも固まっています。空を見上げると、春の星が楽しそうにまたたいています。この世のものが、みんな寝静まった。今、木馬たちは何を考え、何を思いながら夢見るのでしょうか。

         駄目よダメぜつたいにダメ蟇     

                   蟇(ひきがえる)