木魚歳時記第4018話

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 ただ艶麗(えんれい)なだけではなくいかにも明朗闊達な新興武家の出にふさわしい女性であった。これを少女時代に発見した上皇は、さすがにお目が高いというものであろう。
「女子はただ心の持ち方一つで幸せにも不幸にもなるものである」
「身を慎んで品位を保っていれば自然と分に過ぎた幸せにも恵まれる」と日常若い侍女たちにも教えていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)690

        ヘルニアの疑いとかや暮の秋

 「ボクの細道]好きな俳句(1765) 大石悦子さん。「桔梗や男に下野の処世あり」」(悦子) 「桔梗」(ききょう)は秋季となります。青紫もしくは真っ白い鐘形花をつけ『源氏物語』などにも盛んに詠まれているそうです。「男に下野の処世あり」とは、つまり、現在の地位も、名誉も、雅な暮らしも捨て、一介の庶民としての気楽な暮らしをしてみたい・・わかりますが、現今の「格差社会」を見ていると、そう簡単に、このような心境にはなれない。

 かわ沙魚(はぜ)6 彼は裂けた唇(くちびる)で欠伸(あくび)をし、今しがたの激しい興奮で、まだ息を弾ませている。
それでも、彼はいっこうに性懲(こ)りがない。
私はさっきの蚯蚓(みみず)をつけたまま、また釣糸を下す。
すると、早速、かわ沙魚は食いつく。
いったい、私たちはどちらがさきに根負けするのだろう。