木魚歳時記 第1776話

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鯖街道(さばかいどう)

 高野川と加茂川の合流する処が出町です。その合流点に架かる出町橋の西詰に、幹のまわり四、五メートルもある柳の木があります。根元に「鯖街道口 従是洛中」と刻んだ碑(いしぶみ)があります。つまりここは、日本海で獲れた鯖を、若狭湾(小浜港)で塩ジメして、他の海産物とともに、人力で北山連峰の山路の中を運んで来た、若狭街道(鯖街道)の終着点なのです。山又山峠又峠の山道を、多くの危険の中を歩きずめて出町に至り、帰りには京の雅(みやび)を仕入れて若狭に運んだのであります。その苦難の長い歴史の足跡を、この小さな碑は語りかけているように思えてなりません。

     片かげり犬が地べたで寝てゐるよ