木魚歳時記 第638話

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 異類(いるい)というと、すぐ、室町時代の『百鬼夜行絵巻』などに登場する<おばけ>や妖怪のことを想像してしまいます。仏教でいう異類とはなんでしょうか?

  「世の人の心まどはす事、色欲にはしかず。
      人の心は愚かなるものかな」(吉田兼好
 
 古くは仏・菩薩・明王・諸天・人間に対して鬼畜類を指したようですが、その後、人間以外の自然界のすべてを指すようになります。そしてさらに「草木国土皆悉成仏」(そうもくこくどかいしつじょうぶつ)、すなわち、動物・草木に至るまで「自然界のすべては仏となる種子を宿している」の思想に基き、異類の調伏(ちょうぶく)はもとより、仏力による異類の救済、異類の往生を説く段階へと発展してゆくのです。

    夜咄や悪漢来りて新茶汲む