木魚歳時記第4856話

     第三十三章 室津の旅びと(中略)

 (一)気の毒なのは九条兼実であった。摂関家の嫡流(ちゃくりゅう)にすさわしいこの温厚な長者の晩年は、さながらに最高の斜陽貴族の蕭条(しょうじょう)たる姿であった。
 彼が盟友頼朝のために文治(ぶんじ)以来朝廷へ躍起になって請奏した征夷大将軍宣下運動は、最後まで頑強に後白河法皇の御聴許は得られなかったのに、政敵土御門具親の請奏にあっさりと功を奪われて、鎌倉にも勢力を失う結果になり、それを回復する遑(いとま)もなくやがて頼朝は死んだ。(佐藤春夫『極楽から来た』)

                山滴る草木虫魚みな仏  虫魚(ちゅうぎょ)

  「山滴る」(したたる)は夏季となります。事情で『極楽から来た』を(バックナンバーも含め)非礼ながら割愛をさせて頂きます。なにとぞご容赦下さい(汗)。あと、半年ほどでブログ自体終了の予定です。いろんなことが起こりますが! ナムナムと元気で過ごせることに感謝をしています。