木魚歳時記第4785話

 金光(こんこう)が東北の教化に旅立つ時、伝道のために人を見る目を教えて、
「浄土の法門を聞きて悲喜をなし身の毛いや立ち抜き出す如くなるなるはこの人、過去世に既に仏道をなし来れるなり」
 とさとし、遠州に帰る禅勝に「念仏を申されんよう口すぎすべし」
 と渡世の方針を授けた。臨終の床で源智に宗の奥義「一枚起請文」を書き与えたのは周知のとおり法然の弟子に対する日常の懇意の程も知れる。
(佐藤春夫『極楽から来た』)1419

                  しばらくは仏とふたり花の昼

 「仏とふたり」とはなんと不遜(ふそん)な言い方でしょう! しかし、傲慢(ごうまん)は、ぼくの性癖であり、従って俳句の傾向を示すひとつです(汗)。それはともかく、世間がお花見の喧騒の中で過ごすような時、寺の本尊さまの傍で「ぽつねん」と過ごすのがぼくは好きでした。