木魚歳時記第4249話

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 それが五十日ばかり後に御発病があった。この玉のような女体は何か情熱よりも悪質な細菌の巣になったものらしい。全身の淋巴線(りんぱせん)が次々と腫れて治療の手もつけられない。
(佐藤春夫『極楽から来た』)906

       夏障子ひらきたちまち鳥の声

 「ボクの細道]好きな俳句(1991) 池田澄子さん。「風花やまばたいて瞼思い出す」(澄子) 「風花」は、雪が花びらのように舞うこと、つまり、美しい中に厳しさを感じさせる冬の季語です。さて、散歩するとき、息切れがします。外に出ると、写真という「おまけ」(被写体)と出会えますからうれしい。大自然という被写体は飽(あ)きることがありません。ありがままに被写体となって刻々と形を変えます。まさに「諸行無常」(しょぎょうむじょう)です。

  ごん、よろこびや(べば)、
  うきよ(浮世)はれる。
  はれるうきよも、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)