木魚歳時記第4213話

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 世を憚(はばか)り、かねて人目につかぬ催しにしたいというご内意にもかかわらずこの様子である。特に六波羅組というべきこの組の頭になっていた重盛の服装が金銀を用いたものであったので、院からおたしなめがあった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)870

       老鶯と来てはや終の栖かな   栖(すみか)

 「ボクの細道]好きな俳句(1956) 岡本 眸さん。「油蝉死せり夕日へ両手つき」(眸) いつか、低木のところに、踏ん張るように死んでいる油蝉を見たことがあります。さて、鶯の幼鳥の「笹鳴き」(冬季)はさえずりが未熟です。しかし、若いので男にちやほやされます。「老鶯」(夏季)の啼き声は見事そのものです。しかし、どうかすると男に避けられます。この男と女の機微を詠った俳句に、飯島晴子さんの「夏鶯さうかさうかと聞いて遣る」(晴子)があります。

  ねんぶつは、いきながら、ゑ(得)てをる。
  ぶつ(佛)とりん十(臨終)までもうすねんぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)より