木魚歳時記第4168話

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 山城から丹波にかけての川筋に多くの山林を持っていた秦氏は、このところ材木の商人となっていたが、保元以来兵火で焼失した民家の復興やまた造寺の興隆の機運を見て建築業も兼ねて巧みにそれぞれの筋にわたりをつけて、近来また巨万の富を蓄え、草庵はおろか寺の一つくらいは何でもない。建築も資材もみなお手のものであったから、ともかくもとさしあたって仮屋を設けた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)829

        寺に生れ寺に育ちて葱坊主   

 「ボクの細道]好きな俳句(1913) 鈴木六林男さん。「旅人われに雨降り山口市の鴉」(六林男) 「山口市の鴉」? 病弱の作者自身を鴉に比喩したものか? 雨の中に実物の鴉が居たのか? さて、小学生、中学生の時のボクの渾名(あだな)は「坊主」でした。それはかまいませんが、毎週、日曜日にお寺はご法事があります。ボクは、お掃除など準備を手伝うよう「定め」られていました。ですから、日曜日、仲間と一緒に遊ぶことができません! これは辛かった。

  ひともかずある、そのなかで、
  わたしや、いちにん、て(手)をひかれ、
  ごをんうれしや、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)