木魚歳時記第4156話

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 「わたしはほかに行きどころがありません。お釈迦さまのおかげで、ここに飼い殺していただいておりますよ。時にあなたさまはどなたでございましたろうか。年を取りました、とんともう半ばぼけに、何もかも忘れておりましたすみません」
(佐藤春夫『極楽から来た』)820

        亀鳴くや山城国賀茂神社

 「ボクの細道]好きな俳句(1902) 野見山朱鳥さん。「とぎ水の師走の垣根行きにけり」(朱鳥) 「とぎ水」とは、「研水」つまり、お米を研(と)いだ水のことです。昔、農家では下水道が完備していませんから、研ぎ水は垣根のそばを流れる溝に流す仕組みであったようです。さて、賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)は、俗称、下鴨神社ともいいます。山城国(やましろのくに)つまり、京都の一宮(いちのみや)となります。一宮を流れる小川で、鳴かないはず(亀に音を出す器官はない)の亀を鳴かせてみたいという願望です!

  ごをんき(御遠忌)は、ありがたいな。
  あなたのじひの、よろこばれるわ、
  わしに、あなたが、をもいをかけて、
  わしが、あなたの、じひをよろこぶ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)