木魚歳時記第4050話

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 「はじめは生地のままの柱の木目美しい簡素な日本風なものが、やがて丹塗(にぬり)の柱、青い色の窓になり屋根も檜皮(ひわだ)ぶきのものが忽ち甍(いらか)に変り、平安以降寺も時代を経て漸くまた日本風の寝殿形式にかえるとともに奈良時代のように儒教的でなくなって来た相くらいは気がつきました」「山でも丹青を使うようになったのは伝教大師寂せられた以後のことである」
(佐藤春夫『極楽から来た』)717-2

       山粧ふ芹生の里は黒田村

 「ボクの細道]好きな俳句(1797) 長谷川櫂さん。「冬深し柱の中の濤の音」(櫂) 「濤」(とう)とは波の音でしょうか? それとも比喩? ボクは後者だと思います。本堂の大黒柱に耳を添えると・・寒さの中できしむような音が、まるで波濤(はとう)が返すように聞こえるというのでしょうか?

 鳥のいない鳥籠5 「この籠には鳥を一羽入れたっていいわけだ。それをこうして空っぽにしとく。万一、僕がその気になったら、たとえば茶色の鶫(つぐみ)とか、ぴょぴょ飛び回るおめかしやの鷽(うそ)とか、そのほかフランス中にいろいろ鳥のどれかが奴隷の境遇に落ち込んでしまうんだ」