木魚歳時記 第3598話

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(五)太秦の秦氏では、しばらくのうち絶えていた美作の分家から、思いがけずよこした少年を、快くもてなして、しばらくは家の客となって京見物をせよというが、少年は都の見物に来たのではない、修行に来たのだから、一日も早く山に登りたいと、せっかくのかたくなに受けつけない。
(佐藤春夫『極楽から来た』)300

       死ぬときは野菊のごとく密やかに

 「ボクの細道]好きな俳句(1349) 橋本多佳子さん。「罌粟ひらく髪の先まで寂しきとき」(多佳子) ご夫君豊次郎氏の早世(51歳)以外に想像できません。罌粟(けし)の花は鮮やかです。作者自身の「髪の先まで寂しきとき」と対照的に、あでやかな季語を用いられたものと察します。いずれにしても作者の心中がストレートに伝わって来ます。