木魚歳時記 第3427話

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 当年わずかに満九歳の圩頂童子(うちょうどうじ)は、ここで多くの同学の間に立ちまじって、それでなくとも一般に早熟なこの時代でも特に早熟なこの少年の心は、また一。段と早く熟しつつあった。学侶たちもこの童子をいたわり親しんだ。
(佐藤春夫『極楽から来た』)130

     いかのぼりたましひ空についてゆく

 「ボクの細道]好きな俳句(1176) 茨木和生さん。「雪催木桶二つに水張られ」(和生) 雪の降りそうな夜前になると、手桶にきれいな清水を二杯用意しておきます。それは雪国での生活の知恵なのでありましょう。雪の夜に、鬼が出るわけでも蛇(じゃ)が出るわけでもありませんが、すべての凍る世界が訪れるからです。