木魚歳時記 第1682話

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 子燕のこぼれるばかりにこぼれざる   小澤 實

 ぼくは、市販の句集としては『飯田龍太句集』(全十巻)しか持っていません。それは、多くの句集がそうであるように、作者の渾身を込めた作品が各ページにぎっしりと羅列された状態で観賞する力がないからです。これは後で知ったことですが、森鴎外の言葉に「ひと時に、ひと歌を見よ。わすれても、ふたつな見そね」(『うた日記』)とあるようです。まこと宣(むべ)なるかなと思います。

      山姥の来て陶枕(とうちん)を出せといふ