木魚歳時記 第226話

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川蝉の 残像となり 旨い酒

 「袈裟」(けさ)は古代インド語・カシャーヤ(赤褐色)の音写であります。インドの仏教徒は、仏教に入門すると髪と髭を剃り「赤褐色」の衣を付けたようです。

 古代インドでは男でも女でも、日常生活は下着と上着だけで暮らしたようです。仏教徒もこの習慣にしたがい日ごろは「欝多羅僧」(うったらそう)と呼ばれる上着と、「安陀着」(あんだえ)と呼ばれる下着を用いました。また、上半身は裸で過ごすことも多かったようです。これに正装用の「僧伽梨」(そうぎゃり)衣を加えて「三衣」(さんえ)と称します。これらはいずれも、くすんだ地味な色が用いらましたが、その色が「カーシャーヤ」(赤褐色)なのです。

 僧が身につける「三衣」(さんえ)は、使い古したボロ布などを用いて作られましたから「糞掃衣」(ふんぞうえ)とも呼ばれたようです。仏教が中国や日本で伝播するうちに、こうした「三衣」(袈裟)が儀式用に形式化されてゆき<金襴極彩>を競うようになりますが、法然上人は生涯を黒衣のみで過ごされたと伝えられます。

     「分かれても 端で結ばる 松落葉」