木魚歳時記第4264話

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 というのは、この藤原師高は院の寵臣で股肱(ここう)たる西光法師の長子で目代はその弟であったからである。延暦寺は院の処置を不満として山法師どもを繰り出させた。事を好む山法師どもは得たりとばかり、神輿(みこし)をかつぎ出してきらら坂を下った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)921

       山奥で樒の花を見つけたり  樒(しきみ)

 「ボクの細道]好きな俳句(2005) 池田澄子さん。「日と月のめぐり弥栄ねこじゃらし」(澄子) 「弥栄(いやさか)」とは、結婚披露宴の乾杯の音頭などで「御両家の弥栄を祈念して」と用いる・・あれのことです。太陽と月の運行が「いやさか」でければ人類の存亡はありません。「ねこじゃらし」(秋季)との取り合わせが絶妙です。

     まいりました。
  ゑちご、こゑしや(恋しや)、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

 

木魚歳時記第4263話

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 湧泉寺からは本寺延暦寺に訴え出たから、延暦寺はこれを院に院に訴え出て、三宝(さんぼう)を無視する国司と目代との処分を要請したが、院では暴力宗徒を慰撫して、ただ目代藤原師経(もろつね)を備前にに流しただけですまそうとした。
(佐藤春夫『極楽から来た』)920

       水滴は千の菩薩や滴れり

 「ボクの細道]好きな俳句(2004) 池田澄子さん。「貧乏な日本が佳し花南瓜」(澄子) そうです。敗戦後の高度成長期に「三種の神器」がありました。テレビ・洗濯機・冷蔵庫でしたか? 「三種の神器」を目指して、がむしゃらに働きました。今は? 状況に似たところもあります、そうでないところも・・ともかくがんばらなくては(汗)。

  たのしみやつきれば、いまだ、
  なむあみだぶつ、
  なむあみだぶのなせると(を)(思)もゑば、
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4262話

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 相手は国司目代の舎人であった。彼と僧兵とは口論に激した末、僧兵は馬の尾を切り馬の脚をたたき折ったのを見て、舎人は逃げ帰り、国司の兵六百が来て寺に火を放ち焼き払った。僧兵の逆襲に目代は都に逃げ帰った。
(佐藤春夫『極楽から来た』)919

       炎天を象がぶらぶら歩いてる

  ボクの細道]好きな俳句(2003) 池田澄子さん。「カメラ構えて彼は菫を踏んでいる」(澄子) 彼は、被写体に気を取られるあまり、足元に咲く菫(すみれ)を思わず踏んでしまいます。ボクは違います。被写体に接近する欲望を抑えきれずに、花壇に足を踏み入れ、花壇のやわらかい「床」を痛めてしまいました(汗)。

  ごかいさんさま、ごをんがあれば、
  わしも、ろくじのみな(御名)をきく。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 


 

ブログ休止のお知らせ

いつも当ブログをご覧下さってありがとうございます。
皆様のご訪問に励まされて、ブログを続けて参りましたが、
しばらくお休みする事に致しました。
また更新を再開する予定ですので、そのときは宜しくお願いします。
 
追伸:ブログ再開のお知らせ
 
 グログ作者一身上の都合により、ブログ『木魚歳時記』を約70日にわたり休刊させて頂きました。このたび、再開の目途が立ちました。そこで、日々更新とは行かなくとも? 続編再刊に向けて再挑戦したいと思います。引き続き『木魚歳時記』へのご訪問、ご笑覧のほどお待ちします。
 

木魚歳時記第4261話

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  その白山の湧泉寺の湯屋(というのは浴室ではなく、ただ湯を使う屋内の土間か板間らしい)に馬を引きi入れて洗っている者を見て、僧兵がこれを制止し拒むと、相手は逆に国司の権威を説いて制止に応じない。
(佐藤春夫『極楽から来た』)918-2

      昼寝して夢のつづきをまた見たい

「ボクの細道]好きな俳句(2002) 池田澄子さん。「お辞儀してマフラー垂れて地上かな」(澄子) お世話になった方(恩師とか)に、それも偶然に路上で遭遇されたのでありましょうか? 厚着に着ぶくれ、その上に巻いたマフラーが深々とお辞儀をした時、はずれて地上に垂れていた・・

  わしのよに、(六字)たつけ(炊きつけ)、
  いまわ、やかれて、これでらくらく、     
  なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

   

木魚歳時記第4260話 

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  白山というのは越前、加賀、美濃に跨る名山で、古来神域とされるが、また権現の仏たちを祭る仏寺も多く、それらがみな延暦寺の末寺になっていた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)917

           翡翠のまだかまだかと一眼レフ  翡翠(かわせみ)

 「ボクの細道]好きな俳句(2001) 池田澄子さん。「体育の日を書き物で過ごしけり」(澄子) 作者は、高名な、エッセイストです。高名とか、そうでなくとも、高齢者にとって「体育の日」が近づくと、孫とおつきあい・・天候がが思わしくなければ「晴耕雨読」して暮らす・・そんなフツーの芸当すらヤバイ。このブログ遊びですら、爺さんには荷が重い時もあります(汗)。『極楽から来た』の完結(節目)までがんばります。

 よろこびにわ、なんとなく、
 み(身)のよろこびが、なむあびだぶつ。
 『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)

 

木魚歳時記第4259話

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 法然がはじめて山に上がって来た翌久安三年の春から夏にかけて僧兵どもが騒いで田舎出の少年法然を驚かした事件があって、その紛争の結果、越前の白山が叡山領となったのを読者はまだ記憶しているだろうか。
(佐藤春夫『極楽から来た』)916

       掻き氷赤い髪した女の子

「ボクの細道]好きな俳句(2000) 池田澄子さん。「雁来紅弔辞ときどき聞きとれる」(澄子) 「雁来紅」(秋季)は、雁が渡ってくるころに、葉が美しく染まるところからその名があるそうです。ですから、「葉鶏頭」(はげいとう)の傍題となります。雁来紅の如くあでやかであった故人も亡くなられた.

今は,唯、むなしいかぎりでっす。

  なむわ、わたしで、あみだは、をやで、
  これがろくじの、なむあみだぶつ。
  『定本 妙好人 才一の歌』(楠恭編)