木魚歳時記第4071話

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 永観も高徳で、山棲谷飲(さんせいこくいん)の生活十年、専念に修行していたが、その声名によって、南都の衆から迎えられて東大寺に住した。世人ははじめ永観の深く世俗をいとう心を知っていたから、よもや東大寺などへは行くまいと思っていたのに、別に思うところがあったらしく、永観は東大寺に赴いた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)738

       老僧の我欲は罪か蝦蛄仙人掌  蝦蛄仙人掌(しゃこさぼてん)

 「ボクの細道]好きな俳句(1818) 稲畑汀子さん。「一点の橇一線の橇の道」(汀子) いいですね、「橇」(そり)の後の一点に集約され、あとがすべて省略されている。誰がどう読んでも同じ景が見えてくる。これが俳句の一つの基本です。それがわかりながら、俳句を基本通りに作れない(汗)。

 樹々(きぎ)の一家 4 彼らは、盲人のように、その  長い枝でそっと触れ合って、みんあそこにいるのを確かめる。風が吹き荒(すさ)んで、彼らを根こそぎにしようとすると、彼らは怒って身をくねらす。しかし、お互いの間では、口争いひとつ起こらない。彼らは和合の声しか囁(ささ)やかないのである。