木魚歳時記第4068話

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(四)山に帰った二日目から、法然はさっそくに山の生活をはじめていた。
 山の生活というのは朝は『法華経』を読み、夕は『阿弥陀経』を看、そうしてその間に種々の修行をするのである。この規則的な生活は粗食による生活力おその消耗との間に黄金律的な調和があって妄想欲念のおこる余地もなく、心身ともに快適を覚えるものであった。
(佐藤春夫『極楽から来た』)735

       老いらくの色気は罪か石蕗の花   石蕗(つわ)

 「ボクの細道]好きな俳句(1815) 稲畑汀子さん。「とらへたる柳絮を風に戻しけり」(汀子) 「柳絮」(りゅうじょ)とは、柳から飛び立つ綿毛(種子をもつ)のことです。俳句にはよく詠まれる季語です。衣服についた柳絮を、柳絮の「いのち」を思い、風にもどしてあげる・・なんという自然への尊厳。そのやさしさの表現に敬意を表します。

 樹々(きぎ)の一家 1 太陽の烈(はげ)しく照りつける野原を横切ってしまうと、初めて彼らに会うことができる。
 彼らは道のほとりには住まない。物音がうるさいからである。彼らは未墾の野の中に、小鳥だけが知っている泉の縁(へり)を住処としている。(ルナール『博物誌』)