頼政ももとより恋の猛者である。小侍従の多情は百も承知で、それを面白がって源平藤橘、無差別に男から男へ順礼して恋を命に更えている小侍従をとがめたり、妬(や)いたりする気はさらさらになかった。
それでも小侍従が彼女よりも二十も年下で、頼政にとっては初孫ぐらいの薩摩守忠度(ただのり)との浮名を聞いては、さすがの頼政も心平かならぬものがあったのは無理もない。
(佐藤春夫『極楽から来た』)645
はつきりと出口を見たり冬花野
「ボクの細道]好きな俳句(1718) 与謝蕪村さん。「」(蕪村)
正しい教えを多く聞いて憂いを除くことができ
心の安定を喜びとすることができ
善く甘露の教えを説き
おおずから涅槃の境地を得ることができる(ブッダ)
蟋蟀(こおろぎ)1 この時刻になると、歩きくたびれて、黒んぼの虫は散歩から帰って来、自分の屋敷の鳥散らかされている所を念入りに片づける。