木魚歳時記 第3891話

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 何人かは知らん。いや紀の二位ばかりは知るでもあろう。御白河院は生涯おん兄崇徳天皇をしたい奉り、むかしこの兄と鳥羽の田中殿に朝夕お互いにいつくしみの言葉を交わし、無言の間にも相通じた兄上の理解と紀の二位の愛情とに護り包まれていた天皇でもなく、院でもなく、ただの四の宮の若き日を幸福な日々であったと、いつもなつかしく回想している。
(佐藤春夫『極楽から来た』)574

        蚯蚓鳴く父さん居間で独り酒  蚯蚓(みみず)

 「ボクの細道]好きな俳句(1640) 種田山頭火さん。「酒はこれだけ、お正月にする」(山頭火) 酒は「これっぽっち」。喜んでいいいのか、悲しぶべきなのか? そうしたことは、山頭火さんにとって、どちらでもいいことなのでしょう。ともかくグイとやることができるお正月がありがたいのです。 「大自在王菩薩の華幡は 畢竟空とさしそびゆ」(梶原重道『菩薩曼荼羅』)

 豚(ぶた)と真珠 4 そう言えば、鵲(かささぎ)は、弾機(ばね)仕掛けのような飛び方をして逃げて行く。七面鳥は生け垣の中に隠れ、初々(ういうい)しい仔馬は樫(かし)の木陰に身を寄せる。しかし、豚は食いかけのもののあるところを動かない。