木魚歳時記 第3879話

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 朝子は紀州田辺(たなべ)の産で、熊野三山別当の女というが、やや色黒であったが眉目みくからず、何よりも心利いて、ごく率直に親切第一の主人思いの女人であった。
 それ故、人々がとかく重んじない四の宮を心やさしいお方とあがめ、敬いいとおしみ奉り、わが仏とこの上なく大切にお仕え申す心根には四の宮もいつも感謝していた。
(佐藤春夫『極楽から来た』)563

         銀河鉄道999やアマリリス

 「ボクの細道]好きな俳句(1628)  種田山頭火さん。「ひとりの湯がこぼれる」(山頭火) 種田山頭火さんの温泉好きは有名です。うれしいにつけ、悲しいにつけ、湯に身を沈めざざ~と湯があふれる・・その一時が至福のひとときであったのでしょう。「日照王菩薩の羯鼓は 四土寂光とうち鳴らす」(梶原重道『菩薩曼荼羅』)

 驢馬(ろば)3 ジャッコはひっきりなしに、なんの意味もなく、まるで鼾(いびき)でもかくように、「ほい! ほい!」と言っている。時々、驢馬はふっと薊(あざみ)の葉を嗅(か)いでみたり、急に何か気まぐれを起こしたいすると、もう歩かなくなる。するとジャッコは彼の頸(くび)を抱きながら、前へ押し出そうとする。それでも驢馬がいうことをきかないと、ジャッコは彼の耳に噛みつく。